エムスカルプトとEMSの違いは?HIFEMの仕組み・筋収縮・MRI・CT研究を医師が解説
更新日:2026.08.07
当院では、筋肉増強やボディラインの改善を目的として「エムスカルプト」を導入しています。
私自身、施術を行うなかで、
と感じることが多く、どのような仕組みでこれほど強い筋収縮が起こるのか、あらためて調べてみました。
「家庭用のEMSとは何が違うのでしょうか?」
「寝た状態で、なぜこれほど筋肉が収縮するのでしょうか?」
「本当に筋肉そのものに変化が起きているのでしょうか?」
今回は、エムスカルプトに使われているHIFEMという技術を中心に、筋肉が収縮する仕組みや一般的なEMSとの違い、MRI・CTを用いた研究データまで詳しく解説します。
目次
エムスカルプトの基礎には、医療分野で使われてきた電磁刺激技術があります
エムスカルプトは、突然生まれた美容機器ではありません。
その基礎となっているのは、リハビリテーションや理学療法などの分野でも活用されてきた「電磁刺激」の技術です。
エムスカルプトを開発したBTL Industriesは、1993年にチェコで医療機器事業を開始し、現在では世界各国に拠点を展開するグローバル医療機器メーカーです。
もともとリハビリテーション、整形外科、理学療法などの医療機器を長年開発してきた会社で、こうした技術背景を持つBTLが、筋肉増強やボディメイクの分野へHIFEMによる筋刺激技術を展開した機器の一つがエムスカルプトです。
私は、この「筋肉を外からしっかり動かす」という技術そのものが、エムスカルプトの大きな特徴だと考えています。
HIFEMという特殊な電磁刺激
エムスカルプトには、HIFEMという技術が使われています。
HIFEMとは、
の略で、日本語では「高強度焦点式電磁場」と呼ばれる技術です。
変化する磁場を身体に当てると、電磁誘導によって体内に電流が生じます。
この刺激によって運動神経が反応すると、自分で力を入れていなくても、神経から筋肉へ収縮の信号が伝わり、筋肉が強く収縮します。
つまりエムスカルプトは、身体の表面を単に刺激する機器ではありません。
ここが大きなポイントです。
一般的なEMSとエムスカルプトは何が違うのでしょうか?
「筋肉を刺激するのであれば、EMSと同じでは?」
と思われる方もいらっしゃると思います。
どちらも筋肉を収縮させる技術ですが、刺激の伝え方が異なります。
一般的なEMS(Electrical Muscle Stimulation)は、皮膚に電極を装着し、電気刺激によって神経や筋肉を収縮させます。
一方、エムスカルプトは、皮膚から直接電気を流すのではなく、磁場を利用して運動神経を刺激します。
磁場は衣服や皮膚、皮下組織を通過できるため、電極を貼ることなく筋収縮を起こすことができます。
そのため、同じ「筋肉を刺激する機器」でも、一般的なEMSとエムスカルプトでは、刺激の伝わり方や施術時の感覚、起こる筋収縮が異なります。
エムスカルプトの大きな特徴は、HIFEMによって筋肉全体に非常に強い収縮を繰り返し起こせることです。
自分の意思だけでは繰り返しにくい「超極大筋収縮」
通常の筋力トレーニングでは、脳から運動神経へ指令が伝わり、筋肉を収縮させます。
しかし、強い筋収縮を何度も繰り返していると、当然ながら筋肉は疲労します。
疲労や痛みが強くなると、無意識に力を緩めるため、最大に近い筋収縮を長時間繰り返すことは簡単ではありません。
一方、エムスカルプトは運動神経を外部から刺激します。
そのため、自分の意思だけでは繰り返すことが難しい、非常に強い筋収縮を連続して起こすことができます。
これを「超極大筋収縮(supramaximal contractions)」と呼びます。
私が実際に施術に関わっていて、「筋肉にしっかり効いている」と感じる大きな理由も、この強い筋収縮にあります。
約2万回の筋収縮とはどういう意味?
エムスカルプトについて、
という表現を目にしたことがある方も多いと思います。
エムスカルプトでは、約30分間の施術で非常に多くの筋収縮刺激を加えます。
ただし、正確には「自分で腹筋運動を2万回行ったことと、まったく同じ」という意味ではありません。
通常の腹筋運動では、筋収縮だけではなく、身体を起こす動作、姿勢保持、呼吸、複数の筋肉の連携などが伴います。
エムスカルプトでは、HIFEMによって対象となる筋肉に対し、通常の運動では同じ条件で繰り返すことが難しいほど強い筋収縮を短時間に反復して起こします。
また、単に同じ刺激を加え続けるわけではありません。
筋肉を収縮させる速度、間隔、持続時間などがプログラムされており、強い連続収縮と筋肉を休ませるような収縮を組み合わせながら施術が進みます。
この独特な筋収縮パターンも、エムスカルプトの特徴です。
なぜエムスカルプトで筋肉が強くなるのでしょうか?
筋肉に強い負荷が繰り返しかかると、身体はその負荷に適応しようとします。
これは通常の筋力トレーニングでも同じです。
強い筋収縮が繰り返されることで筋組織に負荷が加わり、その刺激に適応する過程で、筋肉の構造にも変化が起こると考えられています。
研究では、エムスカルプト施術後に腹直筋の厚みが増加したことがMRIやCTによって確認されています。
つまり、単に「施術中に筋肉が動いている」だけではなく、その後の筋肉そのものの変化も画像によって評価されているということです。
MRIでも筋肉の厚みの変化が確認されています
エムスカルプトに関する代表的な研究の一つが、KinneyらによるMRIを用いた研究です。
この研究では、22名を対象として腹部に4回の施術を行い、施術前後をMRIで比較しました(参考文献1)。
その結果、平均で腹直筋の厚みが15.4%増加、腹部皮下脂肪の厚みが18.6%減少、腹直筋離開が10.4%縮小したことが報告されています。
「4回受ければ誰でも筋肉が15.4%増える」という意味ではありません。対象人数や研究条件には限りがあり、効果の現れ方にも個人差があります。
それでも、私がこの研究で特に興味深いと感じるのは、単なる施術後の体感ではなく、MRIで筋肉の厚みそのものを評価していることです。
「筋肉にしっかり効いている」という実感を考えるうえで、とても重要なデータだと思っています。
CTを使った研究でも変化が報告されています
別の研究では、22名を対象として腹部に8回のHIFEM施術を行い、CTによって施術前後の変化を評価しています(参考文献2)。
この研究でも、腹直筋の厚みの増加と腹部皮下脂肪の厚みの減少が報告されています。
MRI研究とは、施術回数や評価方法、評価時期などが異なります。
しかし、異なる画像検査を用いた複数の研究で、筋肉の厚みや腹部組織の変化が確認されていることは、エムスカルプトの筋肉への作用を考えるうえで興味深い結果です。
研究規模はまだ大きいとはいえず、メーカーとの利益相反がある論文も含まれていますので、すべての方に同じ変化が起こると断定することはできません。
ただ、エムスカルプトが単なる「体感だけ」の機器ではなく、MRIやCTを用いて筋肉の変化が研究されている点には注目しています。
エムスカルプトの魅力は、筋肉そのものにしっかりアプローチできること
エムスカルプトは、痩身やボディメイクの機器として紹介されることもあります。
実際に研究では、筋肉だけではなく腹部皮下脂肪の変化も報告されています。
ただ、私が施術を行うなかで特に魅力を感じているのは、
です。
私はエムスカルプトの本質を、
だと考えています。
筋肉に強い負荷を与えることで、筋肉の厚みやボディラインの変化を目指すことができます。
腹部に施術することで、
「腹部に力を入れやすくなった」
「身体を支えやすく感じる」
「お腹まわりが引き締まったように感じる」
というお話を伺うこともあります。
臀部では、筋肉をしっかり収縮させることで、ヒップラインや下半身のボディラインを整える目的でも施術を行います。
体重だけに注目するのではなく、身体を構成している筋肉にアプローチする。
ここが、私がエムスカルプトに大きな可能性を感じている理由です。
年齢を重ねる女性だからこそ「筋肉」を意識してほしい
年齢とともに、筋肉は少しずつ減少していきます。
特に腹部や臀部の筋肉は、日常生活のさまざまな動作に関わっています。
女性の場合、
「体重はそれほど変わっていないのに、身体のラインが変わってきた」
「以前より筋肉が落ちた気がする」
「運動しても、なかなかお腹やお尻に効いている感じがしない」
と感じる方もいらっしゃいます。
私は、女性が年齢を重ねていくうえで、体重や脂肪だけではなく、筋肉を維持していくこともとても大切だと考えています。
エムスカルプトは美容目的だけではなく、筋肉にしっかり刺激を加え、自分の身体を支える筋肉を意識するきっかけとしても、とても興味深い機器です。
食事や運動ももちろん大切です。
そのうえで、普段の運動では十分に刺激しにくい筋肉へ、エムスカルプトという別の方法からアプローチすることには大きな意味があると感じています。
2018年に米国FDAの510(k)クリアランスを取得
エムスカルプトに関連するBTLの筋刺激機器「BTL 799-2」は、2018年に米国FDAの510(k)クリアランスを取得しています(参考文献3)。
腹部の筋肉のトーン改善や筋力強化、臀部などの筋肉の強化を目的とした筋刺激機器として位置づけられています。
エムスカルプトは2018年以降、美容医療・ボディコントアリングの分野でも広く使用されるようになりました。
当院がエムスカルプトに注目している理由
私自身、施術を行うなかで感じているエムスカルプトの魅力は、やはり筋肉が本当にしっかり収縮することです。
HIFEMという電磁刺激によって運動神経を刺激し、自分の意思だけでは繰り返しにくい強い筋収縮を起こす。
そしてMRIやCTを用いた研究でも、施術後の筋肉の厚みの変化が報告されています。
エムスカルプトは、単に「楽をして痩せる」という発想の機器ではありません。
だと私は考えています。
筋肉は、若いときだけ必要なものではありません。
これから年齢を重ねていく女性にとっても、身体を支える筋肉を維持していくことは大切です。
「運動しているけれど、もう少し筋肉にしっかり刺激を入れたい」
「腹部や臀部の筋力低下が気になってきた」
「筋肉を意識しながらボディラインを整えたい」
という方には、エムスカルプトはとても興味深い選択肢の一つだと思います。
当院では、お身体の状態や目的を確認しながら、施術する部位や回数をご提案しています。
筋力低下や腹部・臀部のボディラインが気になる方は、白金高輪 海老根ウィメンズクリニックまでお気軽にご相談ください。
エムスカルプトについてご相談ください
お身体の状態や目的、既往歴などを確認したうえで、施術部位や回数、エムスカルプトが適しているかをご提案します。
※効果の現れ方には個人差があります。
※エムスカルプトは、運動療法や食事療法を完全に代替するものではありません。
※体内金属・電子機器、既往歴などによって施術が適さない場合がありますので、施術前に確認を行います。
参考文献
- Kinney BM, Lozanova P. High intensity focused electromagnetic therapy evaluated by magnetic resonance imaging: Safety and efficacy study of a dual tissue effect based non-invasive abdominal body shaping. Lasers Surg Med. 2019;51(1):40-46.
- Kent DE, Jacob CI. Simultaneous Changes in Abdominal Adipose and Muscle Tissues Following Treatments by High-Intensity Focused Electromagnetic Technology-Based Device: Computed Tomography Evaluation. J Drugs Dermatol. 2019;18(11):1098-1102.
- U.S. Food and Drug Administration. BTL 799-2, 510(k) K180813 . Decision Date: June 14, 2018.
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



