福利厚生でピルをもらっている方へ|飲み方・検診・血栓症リスクの注意点
更新日:2026.02.06
福利厚生でピルをもらっている方へ ― 本当に“安全”に使えていますか?
最近、当院には
「会社の福利厚生でピルをもらって飲んでいましたが、妊娠してしまいました」
「飲み方がよく分からず、自己判断で中断していました」
という患者さんが少なからずいらっしゃいます。
福利厚生としてピルを処方してもらえる制度は、女性の健康を支えるとても素晴らしい仕組みです。
しかし同時に、「もらえること」と「正しく、安全に使えること」は別である、という現実も私たちは日々の診療で感じています。
目次
ピルは「飲めばいい薬」ではありません
低用量ピルは、避妊だけでなく、生理痛や月経過多、PMSの改善、肌荒れの軽減など、多くのメリットがあります。
一方で、以下のような点を正しく理解していないと、効果が十分に得られなかったり、思わぬトラブルにつながることもあります。
よくある妊娠してしまった、または、誤った内服をしているケース
飲み忘れの対処を知らない
→ 1日でも飲み忘れると避妊効果が下がることがあります。
ピルを飲んでいるから絶対妊娠しない」と思っている
→ 飲み方が不適切な場合、避妊効果は大きく低下します。
体調不良や副作用があっても我慢している
→ 吐き気、頭痛、不正出血などは調整や薬剤変更で改善できることが多いです。
自分に合わないピルを飲み続けている
→ ピルには種類があり、体質・年齢・既往歴によって向き不向きがあります。
がん検診を受けないままの服用は、決して安全ではありません
もう一つ、どうしてもお伝えしたいことがあります。
それは、「がん検診を受けないまま、長期間ピルを飲み続けることのリスク」です。
実際に当院では、他院で更年期障害のホルモン補充療法を行っていたが、乳がん検診を受けないままピルを継続していた結果、乳がんが進行して見つかった方にお会いしたことがあります。
ピルは多くの女性にとって有益な薬ですが、乳房のしこりや不調、体の変化を「ピルの副作用だと思って様子を見ていた」ケースや、検診を全く行わずにピルを内服し続け、受診が遅れてしまうケースも現実に存在します。
「ピルを飲んでいるから、婦人科やがん検診は大丈夫」
これは決して正しくありません。
20代でも増えている「血栓症」→若いから安心、ではありません
そしてもう一つ、近年特に強く感じているのが、
「20代で血栓症を合併するケースが決して珍しくなくなってきている」
ということです。
低用量ピルは安全性の高い薬ですが、まれに血栓症(血のかたまりが血管を詰まらせる病気)を起こすリスクがあります。
これは40代以降だけの問題ではなく、20代の若い女性でも発症することがあります。
血栓症のリスクが高くなる要因
以下に当てはまる方は、特に注意が必要です。
- 喫煙習慣がある
- 片頭痛(特に前兆のあるタイプ)がある
- 肥満傾向がある
- 長時間のデスクワーク・飛行機移動が多い
- 家族に血栓症の既往がある
- 強い脱水、感染症、長期の安静状態
Check
中には、「福利厚生でピルを処方され、医師の十分な問診やフォローがないまま継続していた結果、20代で血栓症を発症した」
というケースに遭遇することもあります。
こんな症状があれば、すぐに医療機関へ
ピルを服用中に、以下のような症状が出た場合は、自己判断せず、すぐに医療機関を受診してください。
- 片側の脚の強い痛み・腫れ
- 突然の息切れ、胸の痛み
- 激しい頭痛、視野障害、ろれつが回らない
- 片側の手足のしびれ・脱力
Check
これらは、血栓症のサインである可能性があります。
ピルを安全に使うために必要なこと
ピルを服用している方こそ、以下の点がとても大切です。
- 服用開始前・継続中の医師による問診・リスク評価
- 定期的な婦人科診察
- 年齢に応じた子宮頸がん検診・子宮体がん・乳がん検診
- 体調変化があれば、自己判断せず医師に相談
Check
ピルは「体の状態を無視して飲み続ける薬」ではなく、“体の変化を確認しながら、安全性を評価し続ける薬”です。
「医師に相談しながら使う」ことが、安全への近道
ピルは、インターネットや福利厚生サービスを通じて手軽に入手できる時代になりました。
しかし、飲み方・副作用・血栓リスク・検診のタイミングを“誰にも相談していない”状態で使い続けることは、決して安全とは言えません。
- これで正しい飲み方なのか?
- 副作用は許容範囲なのか?
- 血栓のリスクは自分にないのか?
- 検診は受けたほうがいいのか?
こうした疑問は、医師に確認することでほとんどが解決できます。
対面が難しければ、オンライン診療という選択肢も
「忙しくて病院に行く時間がない」
「ちょっとしたことを相談するのは気が引ける」
そのような方には、オンライン診療という方法もあります。
- スマートフォンやPCから医師に相談できる
- 飲み方・副作用・血栓リスク・検診の必要性を確認できる
- 自分に合ったピルへの変更も検討できる
Check
“わからないまま飲み続ける”より、短時間でも医師に確認することが、何よりの安全対策です。
最後に ― あなたの体を守れるのは、あなた自身です
福利厚生でピルを処方してもらえることは、とても恵まれた環境です。
だからこそ、「ただ受け取る」のではなく、「正しく理解して、検診も受け、血栓リスクも確認しながら使う」ことが大切だと、私たちは考えています。
- 飲み方に不安がある
- 副作用がつらい
- 検診をしばらく受けていない
- 血栓症が心配
- このままで本当に大丈夫なのか分からない
Check
そんなときは、どうか一人で抱え込まず、医師に相談してください。対面でも、オンラインでも、あなたの健康を守るお手伝いができます。
ピルは、正しく使えば、女性の人生を大きく支えてくれる薬です。だからこそ、「安全に、納得して、検診とリスク評価とセットで使う」ことを、ぜひ大切にしてください。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。



