甲状腺異常と妊娠|妊活〜産後の症状・検査・治療を産婦人科女医が解説!
更新日:2025.07.16
「甲状腺の異常」が、妊娠・出産に影響することをご存じですか?
甲状腺は、首の喉仏の下あたりにある小さな臓器で、蝶々のような形をしています。
ここで作られる甲状腺ホルモンは、私たちの体の元気の源。
まるでエンジンのように、体中の細胞が働くスピードを調整する大切な役割を担っています。

甲状腺ホルモンは、月経や排卵のリズムを整えるだけでなく、妊娠の成立や胎児の脳・神経の発達にも深く関わっています。
しかしその重要性はあまり知られておらず、妊活中・妊娠中・出産後の女性が、甲状腺の異常に気づかないまま過ごしてしまうケースも少なくありません。
甲状腺の異常は、主に「甲状腺ホルモンの分泌異常」と「甲状腺の形態異常(腫瘍や結節など)」の2つに大きく分けられます。
この記事では、特に妊娠・出産に深く関わる「甲状腺ホルモンの分泌異常」に焦点を当て、その影響と対策について詳しく解説します。ただし、当院では形態異常についても検査・フォローをおこなっております。
この記事でわかること
- 妊活中から甲状腺機能を検査すべき理由
- 妊娠中に起こりやすい甲状腺の変化と赤ちゃんへの影響
- 治療薬の安全性と、安心して服薬を続けるための知識
- 実際の相談事例と当院の体制
妊娠を希望されている方はもちろん、現在妊娠中の方、出産後の体調が気になる方にも役立つ内容を網羅しています。
あなたと赤ちゃんの未来のために、「今」知っておきたい甲状腺のはなしを一緒に確認していきましょう。
目次
妊娠前の影響

月経や排卵がうまくいかない原因は、甲状腺にあるかもしれません。
甲状腺ホルモンは、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)と密接に関わっています。
例えるなら、車の両輪のようなもの。片方がうまく機能しないと、もう片方にも影響が出て、月経や排卵のリズムが乱れてしまうことがあるのです。
そのため、甲状腺機能が低下すると月経異常(無月経・過多月経・周期不順)や排卵障害が起こりやすくなり、妊娠しづらくなることがあります。
また、TSH(甲状腺刺激ホルモン)は、甲状腺に「ホルモンをもっと作って!」と指令を出す司令塔のような脳から分泌されるホルモンです。

甲状腺ホルモンについて
甲状腺ホルモンは、脳の視床下部→下垂体→甲状腺、というホルモン分泌の司令塔からの連携によってコントロールされています。
視床下部から「TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)」が分泌され、下垂体が「TSH(甲状腺刺激ホルモン)」を出し、最終的に甲状腺がホルモン(T3・T4)を作るという流れです。
この司令塔が頑張りすぎている(TSHが高い)、あるいは甲状腺ホルモンが低い状態にある場合、着床がうまくいかず、妊娠率の低下や初期流産のリスクも上昇します。
甲状腺機能低下症(橋本病など)
甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気で、自己免疫疾患である橋本病が主な原因です。症状がゆっくり進行するため、気づきにくいことがあります。
よくある症状
- 疲れやすさ、だるさ:全身の代謝が落ちるため、体が省エネモードになり、疲れやすく、だるさを感じやすくなります。
- 冷え、むくみ:体温調節がうまくいかず、水分代謝も滞りがちになるためです。
- 体重増加
- 月経量が多くなる、月経不順(稀発月経、無月経)
- 便秘
- 抜け毛、皮膚の乾燥
- 記憶力の低下、集中力の欠如
同時に、高プロラクチン血症を併発し、不妊が長引くケースもあります。
※高プロラクチン血症とは
母乳を出すホルモンであるプロラクチンが過剰になる状態です。このホルモンが排卵を妨げ、不妊治療が長引く原因になることもあります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
ホルモンが過剰になることで、月経周期の乱れ・無月経・代謝の過剰消耗が起こります。特にバセドウ病は、妊娠維持力が弱くなることがあり、流産のリスクが高まる場合も。
よくある症状
- 動悸、息切れ:体が常に全速力で動いているような状態になり、心臓への負担が大きくなります。
- 多汗、暑がり:代謝が活発になりすぎるため、汗をかきやすくなります。
- 体重減少:食べても食べても消費が激しいため、体重が減ってしまいます。
- 手の震え
- イライラ、不眠
- 月経が止まる・量が極端に少なくなる(無月経、稀発月経)
- 眼球突出(バセドウ病に特徴的)
体がエネルギーを過剰に消費してしまうため、妊娠に必要な体力や栄養が不足しがちになり、妊娠への準備が整いにくくなることがあります。
妊娠中の影響

妊娠したからこそ、甲状腺ホルモンのバランスがいっそう重要に。
妊娠すると、お母さんの体は赤ちゃんを育むために大きな変化をします。
甲状腺ホルモンも、お母さん自身の体の健康を保つだけでなく、お腹の赤ちゃんが成長するためにとてもたくさん必要になるため、ホルモンのバランスがいっそう重要になるのです。
妊娠中は、母体のホルモン環境が大きく変化するため、甲状腺機能にも影響が出やすい時期です。特に妊娠初期は、胎児の甲状腺機能が未熟なため、母体からの甲状腺ホルモンが不可欠となります。
甲状腺機能低下症と妊娠中のリスク
妊娠中に甲状腺ホルモンの量が不足していると、赤ちゃんの発育に深刻な影響を与える可能性があります。
- 流産・早産・妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)のリスクが上昇します。
- つわりが重くなったり、エネルギー不足でうつ症状・疲労感・むくみが悪化したりするケースもあります。
- 血糖や血圧のコントロールが不安定になり、妊娠経過に影響することもあります。
甲状腺機能亢進症と妊娠中のリスク
特に注意したいのが「バセドウ病」です。
甲状腺ホルモンの暴走状態が続くと、妊娠高血圧症候群・早産・常位胎盤早期剥離・心不全など重大な合併症を引き起こすことがあります。
命の危険もある「甲状腺クリーゼ」
中でも、甲状腺ホルモンが異常に高まった状態で発症する「甲状腺クリーゼ」は命に関わる緊急事態です。
高熱が出たり、意識がもうろうとしたり、心臓がバクバクと速く動いたり、血圧が急激に下がるとショック状態になり、母児共に一刻を争う緊急事態となることがあります。早期に適切な対応が遅れると危険です。
この病態は一般にはあまり知られていませんが、産科を舞台にした人気ドラマ『コウノドリ』で描かれたことで、多くの方にその危険性が知られるようになりました。
「妊娠中の甲状腺亢進は命に関わるリスクもある」ことを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと願っています。
ただし、適切な検査と妊娠中の管理と治療を受けていれば、こうしたリスクは十分に防ぐことが可能です。当院では妊娠中の甲状腺機能も定期的にモニタリングし、安全な出産をサポートしています。
胎児・赤ちゃんへの影響

妊娠中の胎児の脳や神経の発達は、お母さんの甲状腺ホルモンに支えられています。
お腹の赤ちゃんは、妊娠初期(およそ妊娠12週頃まで)の間、まだ自分で甲状腺ホルモンを作ることができません。
この時期、赤ちゃんはすべてお母さんから送られる甲状腺ホルモンに頼って、脳や神経などの重要な体の部分を作っています。例えるなら、赤ちゃんにとってお母さんの甲状腺ホルモンは、成長に必要な大切な栄養素のようなものです。
甲状腺機能低下症の胎児への影響
妊娠初期(~12週頃)まで、胎児は母体から供給される甲状腺ホルモンだけに依存しています。
この時期にホルモンが不足していると、胎児の脳や神経の形成が不十分となり、知的障害や運動発達遅延を引き起こすことがあります。
代表的な疾患:クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)
クレチン症は、この時期のホルモン不足などが原因で起こることがある病気で、生まれた後も精神的な発達の遅れや体の成長の遅れ、言葉の発達の遅れなどが特徴として現れることがあります。
しかし、早期に発見して治療を開始すれば、その影響を最小限に抑えることが可能です。
近年、新生児マススクリーニング検査を生後5日におこなうことにより、早期発見できるようになりました。また、母体が自己免疫性疾患を持つ場合、抗体が胎児に影響し、まれに胎児が甲状腺機能亢進になるケースもあります。
甲状腺機能亢進症の胎児への影響
バセドウ病などの母体から、「TRAb(TSH受容体抗体)」が胎盤を通して赤ちゃんに移行すると、胎児甲状腺機能亢進症(頻脈・発育遅延・甲状腺腫)が起きることがあります。
出生後にも、赤ちゃんに一過性の甲状腺異常が出現することがあり、定期的な検査と経過観察が必要です。
産後の甲状腺異常と注意点

出産後も甲状腺機能は変動しやすく、特に自己免疫性の甲状腺疾患を持つ女性や、もともと甲状腺機能が不安定だった女性は注意が必要です。
産後の甲状腺炎(無痛性甲状腺炎)
出産後数か月以内に発症することがある一過性の甲状腺炎で、甲状腺機能亢進状態になった後、低下状態になることが多いです。
出産後は、ホルモンバランスが大きく変化し、体も心も大きな負担がかかる時期です。
産後の甲状腺炎は、このようなホルモン変化や免疫の変化によって起こりやすいと考えられています。多くの場合、症状は軽度で自然に回復しますが、一部では治療が必要になることもあります。
症状
- 動悸、イライラ(甲状腺機能亢進期)
- 疲労感、むくみ、気分の落ち込み(甲状腺機能低下期)
注意点
- 産後の疲労や睡眠不足と症状が似ているため、ご自身でも「産後の疲れかな?」「産後うつかな?」と思って見過ごしてしまうことがあります。
- 産後うつと思われるような症状ではありますが、甲状腺の異常が原因である可能性もあるため、つらいと感じたら、迷わず医療機関に相談することが大切です。内分泌内科を受診しましょう。
既存の甲状腺疾患の悪化
妊娠中に安定していた甲状腺機能が、出産後に変動したり、既存の疾患が悪化したりすることがあります。
出産後は育児による疲労や睡眠不足、ホルモンバランスの急激な変化などにより、心身に大きな負担がかかります。
甲状腺の症状は、これらの産後の一般的な不調と似ていることも多いため、見逃さないよう注意が必要です。
治療と薬の安全性について

甲状腺機能の異常が見つかった場合、適切な治療を受けることが非常に重要です。
特に妊活中や妊娠中は、「妊娠中に薬を飲んでも赤ちゃんに影響はないの?」「授乳中でも大丈夫?」といった不安を抱かれる方も少なくありません。
しかしご安心ください。
当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせて慎重に治療計画を立て、安心して治療を継続できるようサポートしています。
妊娠前の治療
・甲状腺機能低下症の場合
甲状腺ホルモン補充薬(チラーヂンなど)を服用し、TSH値を適切な範囲にコントロールします。
通常、妊活中の女性のTSHは2.5µIU/mL未満が推奨されています。
これは、妊娠に最も適した甲状腺ホルモンのバランスの指標をTSHで評価されており、この値を超えていると甲状腺機能の低下による妊娠率が下がる可能性があることが知られています。
・甲状腺機能亢進症の場合
抗甲状腺薬を服用してホルモン値をコントロールします。
妊娠を希望する場合は、妊娠への影響が少ない薬剤を選択したり、放射性ヨード治療や手術を検討したりすることもあります。
妊娠中の治療
妊娠中も、甲状腺機能の安定は不可欠です。
・甲状腺機能低下症
妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量が増えるため、妊娠前よりもホルモン補充薬の量が増えることがあります。
医師の指示のもと、チラーヂン(甲状腺ホルモン補充薬)を継続し、定期的なホルモン値のモニタリングを行うことで、安心して妊娠を継続できます。
特に治療効果の評価においては、TSHは、脳が甲状腺に送る「もっとホルモンを出して」という指示の量を示すため、この値を見ることで、甲状腺がどれだけ頑張っているか、あるいは休んでいるかがよくわかります。
そのため、治療が適切におこなわれているかを確認する上で、最も信頼できる指標となります。FT3やFT4も参考にしますが、これらの数値は日内変動が大きく、より正確な治療効果の判断にはTSHの値が軸となります。
・甲状腺機能亢進症
妊娠中に使用できる抗甲状腺薬は限られています。
医師は、胎児への影響を最小限に抑えつつ、母体の甲状腺機能を適切にコントロールできるよう、慎重に薬剤の選択と用量調整を行います。
こちらにおいても治療効果の評価はTSHが軸となり、定期的な血液検査でTSHを含むホルモン値を厳密に管理することが重要です。
出産後の治療
出産後も引き続きホルモン値をモニタリングし、必要に応じて薬剤の量を調整します。
授乳中の方には、授乳への影響が少ない薬剤を選択しますのでご安心ください。
まとめ
- 妊活中・妊娠中の甲状腺機能異常の治療は、薬の量を適切に調整し、継続することが重要です。
- 治療効果の評価にはTSHが軸となり、FT3、FT4は補助的な指標として活用されます。
- 妊娠中や授乳中でも安全に使用できる薬がありますので、自己判断で服用を中断せず、必ず医師の指示に従ってください。
当院における甲状腺異常へのアプローチ

当院では、産婦人科・女性内科を併設している特性を活かし、女性のライフステージ全体を通して甲状腺異常に総合的に対応しています。
当院の特徴
1.産婦人科・女性内科の連携
妊娠・出産だけでなく、月経不順や不妊治療、更年期障害など、女性特有の症状と甲状腺の関連性も考慮した診療が可能です。
2.包括的な検査体制
血液検査による甲状腺ホルモン測定だけでなく、触診や超音波(エコー)検査も行い、甲状腺の形や大きさ、しこり(結節)がないか、もしあればそれが良性か悪性か(甲状腺がんの可能性)を慎重に判断しています。
妊娠中、または、分娩後の手術療法に対する検討もおこないます。妊娠中はホルモンの影響で、一時的にしこりが大きくなったり、新しいしこりができたりすることもあるため、きめ細やかなフォローが重要です。
3.専門医との連携
甲状腺専門医との緊密な連携体制を築いており、より高度な治療が必要な場合は速やかにご紹介します。妊娠中も、当院で妊娠の管理をおこないながら、甲状腺の専門医と連携し、最適な治療を進めていきます。
甲状腺検査は必要?|妊活・妊娠前に知っておきたい理由と当院の対応

妊活を始める前や妊娠を希望する女性に甲状腺疾患が見つかった場合、妊娠前の治療が適しているか、経過観察可能かの判断も大切なため、甲状腺機能の検査をおすすめしています。
注意すべき検査項目
甲状腺機能の異常は、主に血液検査で確認できます。
特に注目すべき項目は以下の通りです。
検査項目 | 正常範囲(参考値) | 異常時に考えられる状態 | 備考 |
---|---|---|---|
TSH(甲状腺刺激ホルモン) | 0.5~2.5 µIU/mL未満(妊活推奨) | 高値:機能低下 低値:機能亢進 |
脳下垂体から分泌。甲状腺への指令役。 甲状腺機能の全体的な状態を最もよく反映し、治療効果の評価において軸となる重要な指標です。 |
FT4(遊離サイロキシン) | 0.8~1.6 ng/dL | 低値:機能低下 高値:機能亢進 |
実際に体内で働く甲状腺ホルモンの量。 TSHと合わせて診断に用いられますが、治療評価においてはTSHの変動に比べて日内変動が大きく、補助的な指標として活用されます。 |
FT3(遊離T3) | 2.0~4.0 pg/dL | 低値:機能低下 高値:機能亢進 |
実際に体内で働く甲状腺ホルモンの量。 FT4と同様に診断に用いられますが、治療評価においてはTSHと比較して変動が大きく、補助的な指標として活用されます。 |
抗TPO抗体 | 28 IU/mL未満 | 陽性:橋本病(自己免疫性甲状腺機能低下症) | 自己免疫性の病気(橋本病など)があるかどうかを調べるもの。 将来的に甲状腺機能低下症を発症するリスクが高く、妊娠中・出産後の変化に注意が必要です。 |
TRAb | 1.9 IU/L未満 | 陽性:バセドウ病(自己免疫性甲状腺機能亢進症) | 自己免疫性の病気(バセドウ病など)を調べる検査。 妊娠中に高値だと胎盤を通過して胎児に影響を与える可能性があり、慎重な管理が求められます。 |
当院での検査・費用の目安
当院では、妊活をされている方、妊娠を希望されている方全員に、甲状腺機能検査(血液検査)を実施しています。
・検査項目
TSH、FT4、FT3、抗TPO抗体、TRAb(問診により医師が必要と判断した場合)
・費用目安
約3,000円~5,000円(保険診療、初診料・再診料別途。抗体検査の有無で変動します)
※上記は目安であり、個別の診療状況によって費用は異なります。詳細は診察時にご確認ください。
妊娠・出産をあきらめないために|実例とよくある相談

「甲状腺の病気があると、妊娠は無理なのでは…?」
そう不安を抱えて来院される方も少なくありません。
でも実際には、多くの方が治療と管理をしながら、無事に妊娠・出産を叶えています。
ここでは、当院での実際のご相談や、よくある質問に対して医師がどのように対応しているかをご紹介します。
【CASE1】不妊治療で甲状腺機能低下が見つかり妊娠成功
「なかなか妊娠できなくて、何が原因なんだろう…」
と悩んでいらした患者様。
「タイミング法をやってみたけど、なかなか妊娠しなくて…」
と、ご相談にいらした患者様。
お話を伺うと、月経不順で、月経周期は長めということがわかりました。
甲状腺ホルモンのチェックをしてみたところ、TSHの値が高く、甲状腺機能の低下が妊娠のしにくさにつながっている可能性がありました。早速、甲状腺ホルモンの補充を開始。安定したところで妊活を再開していただき、無事に妊娠・出産を迎えることができました。
不妊の原因は様々ですが、甲状腺機能の異常が隠れているケースは珍しくありません。
特に、甲状腺ホルモンのバランスが崩れている場合、排卵障害や月経不順を引き起こし、妊娠を困難にする可能性があるため、適切な検査と治療が重要です。
適切な検査と治療でホルモンバランスを整えることで、多くの方が妊娠を叶えています。諦めずにご相談ください。
【CASE2】妊娠初期に甲状腺機能亢進を発見→早期治療で胎児も順調に成長
「妊娠がわかって嬉しいけど、甲状腺の病気があるって言われて不安で…」
と、妊娠初期に心配されていた患者様。
妊娠初期に、当院では全員に甲状腺機能のチェックをおこなっております。
そこで、TSH低値、TRAb陽性で甲状腺機能の亢進が見つかりました。すぐに専門医へ紹介、抗甲状腺薬を服用していただき甲状腺ホルモン値をコントロールし、連携しながら慎重に妊娠経過をフォローしました。
治療開始後はホルモン値も安定し、胎児の発育も順調。無事に出産に至りました。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)も、月経異常や排卵障害を引き起こし、不妊の原因となることがあります。
また、妊娠中の管理を怠ると、母体だけでなく胎児にも影響を及ぼす可能性がありますが、早期に発見し、専門医と連携して治療を行えば、安心して妊娠・出産に臨めます。妊娠がわかったら、まずは甲状腺機能のチェックをおすすめします。
まとめ|正しい知識と管理で、母子ともに安心なお産を

甲状腺の異常は、自覚しづらい不調から始まり、見えないところで妊娠や出産に大きく影響を与えることがあります。
しかし、正しく検査し、医師の指導のもとで治療・フォローアップを続けていけば、ほとんどの方が安全に妊娠・出産を迎えられます。
甲状腺異常は、女性の妊娠・出産に大きな影響を及ぼす可能性があります。
しかし、適切に診断し、治療・管理を行えば、安全に妊娠を継続し、健康な赤ちゃんを授かることが十分に可能です。
当院では、産婦人科・女性内科として、妊活中から妊娠中、産後まで、女性のライフステージを通じた甲状腺機能のケアに力を入れています。専門的な知識と経験を持つ医師が、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を提案し、安心して妊娠・出産を迎えられるようサポートいたします。
- 月経異常や不妊が気になる方
- 妊活中だがなかなか授からない方
- 妊娠が判明したばかりの方
どんな段階でも、まずは甲状腺機能のチェックを。
未来の命を守る第一歩として、“今”行動することが大切です。
ご自身の甲状腺の状態に不安がある方、妊活中の方、現在妊娠中の方、出産後の体調が気になる方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
甲状腺と女性ホルモンの両面から体調をまとめて管理できるという点が当院の強みであり、安心して通院いただける環境を整えております。
オンライン診療も実施中

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。