若い世代のモナリザタッチ
更新日:2025.02.28
若い世代の性交痛、妊娠希望の方のモナリザタッチ。
昨日は、セミオープンシステムを登録している愛育病院との連携会議でした。
12年前の開業の時は、港区の妊婦さんはたくさんいて、連携施設もたくさんありました。昨日は、開業医数名のみの参加でとても驚きました。少子化ということは、妊婦さんが開業医を訪れないということを意味しているのか。少子化の事実を体感しました。
日本の2024年の出生数は72万人ほどで9年連続過去最高になりました。
死亡数が出生数を上回る人口の「自然減」の状態は18年連続続いています。どんどん人口が減少すると、日本はどうなってしまうのだろうと心配になります。
最近、性交痛で来院する10代~30代の性交痛で来院される方が増えております。今まで意識しなかったのですが、意外と沢山の未婚女性が性交痛があり、性交痛やその理由による性交ができないことで妊娠や結婚をすることをあきらめている方がいらっしゃるようです。診察すると、特に形態学的異常は認められないのですが、膣や外陰部が非常に小さく、未熟な感じがします。つまり、第2次性徴で性器が成長しきれていないように感じるのです。90%以上の方が、低用量ピルを内服して、いらっしゃいます。
低用量ピルを大学で1997年ころ、治験を行っておりました。以前は、月経不順や多嚢胞性卵巣症候群に対して、カウフマン療法というホルモン治療一般的でした。ホルモン量が多いため頭痛、嘔気、嘔吐、浮腫などの副作用があり、低用量ピルが日常で使用できることはとてもいいことだと思っておりました。その後低用量ピルが普及して、子宮筋腫や子宮内膜症、さらには月経困難症にも適応が広がり、避妊で内服することも一般的になりました。いわゆる、「ピル流行」の時代が来たように思います。
低用量ピルに関して、ほぼ抵抗なく使用していたのですが、さらに超低用量ピルというホルモン量の低い製剤が発売され、徐々に継続してピルを内服している患者様が「全く月経がないけれど大丈夫か?」という質問する方が増えてきました。そして、月経困難症で小学生にも処方する事例が増えていき、10代~ピルを内服する習慣を持つ患者様が多くなってきました。性交渉の経験がない時期からの内服が開始するため、子宮鏡を使用する内診や経腟超音波検査を行わずにピルを処方することがあるのかもしれません。小学生や中学生くらいの月経発来前の小さめの子宮や卵巣や膣、そして外陰部を持つ患者様に、低用量ピルで月経困難症の治療を行う。女性性器がそのまま成長せず、大人になって、性交渉しようと思っても痛くてできない。こんな、ストーリを連想させる所見を持つ若い患者様がたくさんいらっしゃいます。どうやって、その女性性器を成熟させられるのか。
可能であれば、ピルを一時的にでも中止して、自然の月経を発来させてあげたい。でも、患者様としては、「月経時の疼痛が怖い」「性交渉を試すとしたら、妊娠が怖い」という理由で、ピルを中止する判断ができないことが多いです。次の方法は、外陰部のマッサージ。かなり、外性器を触れることに抵抗がある方も多く、まず洗浄やマッサージを提案する。そのトレーニングが終わったら、膣の中に自分の指を入れられるように指導する。ダイレーターを使用するクリニックもあるようですが、性器に触れることに抵抗のある方に器具を入れるというハードルは非常に高いと思います。このため、当クリニックでは柔らかい不安の少ない自分の指を挿入することから指導しております。その後、潤滑ジェルを使用しながらの性交を試してもらう。それでも、性交できない場合には、最終手段として、膣レーザー「モナリザタッチ」を使用しています。
「EBINEジェル」、「EBINEセラム」は、更年期以降の性交痛の患者様のために開発した商品ですが、まさか、若い方々にこれほど好評を得られるとは夢にも思っておりませんでした。この二つのアイティムのマッサージで、上記のようにマッサージしてもらい、ほぼ半数の患者様の性交ができるようになっているようです。そして、どうしても疼痛が取れない残りの約半数の患者様に、モナリザタッチを行っております。
「性交痛にて、彼氏と別れなければならない」、「結婚生活が楽しめない可能性が高く破談になった」、「性交痛を考えると子供が欲しくない。結婚したくない」。かなり切実な悩みですし、少子化の一因となっていると思います。
健康に子供を育てるということがとても大切なことであるのと同じように、女性性器を成長させることも非常に大切です。どうしても、学歴社会になってしまって、学校に行くとか勉強ができるとか、入試に受かるとか、そのような考えに振り回されがちな考え方を、原点に戻って「子供を健康に大切に育てる」ことにフォーカスを当ててみようと思います。
女性性器を育てることが、一つの少子化対策となると考えます。モナリザタッチを有効に活用しようと思います。がんの方だけでなく、今後の妊娠希望の方にも、低価格でのモナリザタッチをご提案したいと思います。ぜひ、外来でご相談ください。

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。