本人が被害を知らない性犯罪について
更新日:2025.01.29
本人が被害を知らない性犯罪について
性犯罪を受けた被害者の女性が、意識がはっきりせず、性犯罪を受けた時の状況がわからないために、警察で事情を説明できなくて困っている患者さんに出会いました。意識がはっきりしない理由が、何なのかも本人がわからないというのは、本当に怖い。被害を受けたような気がするけれども、どうしていいかわからない。この時から、意識のはっきりしていない犯罪は、訴えることが非常に難しいということを知りました。性犯罪の被害者を診察する私も、性犯罪を受けたかどうかの判断が難しいのですが、せめて性被害にあったと思われる方の避妊、性病の確認、そして犯罪者のDNA検査だけはすぐに行いたい。と思いました。しかし、被害がはっきりしない状況でのこれらの検査は、警察でも取り扱いに困るようでしたが、身に覚えないDNAが膣内にあるなんて、ありえない。このような犯罪がなくなるように、警察方には頑張ってほしい。
今度は、被害者が全く性犯罪にあったことがわからない被害者がいるという、恐ろしい事実を知りました。最近の性犯罪では、薬剤を使用されてしまったのか理由がはっきりしないのですが、性犯罪にあった被害者が被害にあったという事実の記憶が全くないことがあるようです。その被害者は、性犯罪とは意識せず、帯下の異常のため婦人科を受診して治療を行いました。性病に感染しておらず、妊娠もしなかったようです。その半年後、違う犯罪の証拠動画からこの性被害が発覚したようです。なんと怖い日本になってしまったのか。
注意して生きても、しきれないような気もしますが、性犯罪を受けないためには、せめて意識がなくなるような飲酒は避けた方がいいと思いました。また、意識がなくなったと気付いた時には、婦人科診察は重要だと思います。妊娠、性病は、早めの対処が必要です。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。