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性行為無しでも感染?【女性の性器ヘルペスを女医が徹底解説】症状・原因・早期治療法から再発予防まで。

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「性器ヘルペス」は、一度発症すると何度も繰り返してしまいがちな、困る病気です。

少しでも早い段階で治療を開始することが、症状を悪化させないためには重要です。

今回は、原因や症状、感染経路、治療など性器ヘルペスに関する情報を幅広くお伝えいたします。当てはまりそうだなとお感じになられた方は、早めに受診してください。

 

性器ヘルペスとは

画像 性器ヘルペスの原因や症状、感染経路などについて解説いたします。

原因はヘルペスウイルス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV 1型または2型)に感染したことが原因で、性器やその周辺に発症する感染症です。

一度発症するとウイルスは体外へ排出されることがなく、生涯にわたって神経の中に潜んでおり、疲労が溜まっているときなど免疫力の低下によって再び活性化するという性質があります。ウイルスを体内から排除できないという意味で、治らない感染症といえます。

同じヘルペスでは、口や鼻の周辺に症状が出る「口唇ヘルペス」を聞いたことがある方も多いでしょう。

性器ヘルペスと同様に単純ヘルペスウイルスが原因ですが、口唇ヘルペスの場合はHSV 1型がほとんどです。HSVのタイプの違いは重要ではなく、発症した部位の違いにより、呼ばれ方や症状の出方が異なります。

口唇ヘルペスが性器に感染し、性器ヘルペスを発症することもありますので、口唇ヘルペスを発症している間はキスやオーラルセックスは避けましょう。

性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスの症状について、ご紹介します。

初感染の場合

初感染の発症が、非常に重症です。

女性の症状

外陰部に、強い痛み・かゆみのある水疱が多発し、数日後には水疱が破れて潰瘍(ただれ)となります。
症状のピークは1週間前後です。足の付け根のリンパ節の腫れ、高熱、排尿困難、陰部の痛みで歩けないなどの症状を呈することも多く、男性よりも症状が重くなる傾向にあります。

男性の症状

男性器に複数の水疱ができ、数日すると水疱が破れて潰瘍となります。
排尿時痛や、少量の尿道分泌物が出る場合もあります。 あまり症状のでない場合もあり、感染したことに気が付かないまま過ごしている方も、一定数いらっしゃいます。

再発の場合

前兆として、陰部のチクチク・ヒリヒリ感や、足の付け根がビリビリと痺れる感覚などを感じることがあります。この段階で、素早く治療を始められると症状が軽く抑えられますので、違和感を見逃さないようにしましょう。

再発の場合も、痛みのある水疱や潰瘍など、初回に発症した部位に、初感染時よりも軽度の症状が同様に出ることが多いです。

初感染のときよりも症状は軽い傾向にあるとはいえ、再発を繰り返すと心身のストレスは大きくなってしまいますので、再発を繰り返さないに越したことはありません。 HSV 2型による性器ヘルペスの方が再発しやすいことが知られています。

潜伏期間・感染経路について

初めての感染の場合、潜伏期間は数日〜1週間程度です。

無治療でも症状は2〜4週間程度で軽快はしますが、抗ウイルス薬等で治療をすると軽快までの期間を短くすることができます。

症状のある部位(性器の粘膜、分泌物、水疱)を直接的に触れることにより、接触感染を起こします。コンドームを着用していても、感染を完全に防ぐことはできません。

また、水疱内の液体には多量のウイルスが含まれていますので、液体に触れることでも感染します。タオル、バスチェア、便座などを介した感染も知られており、性行為の経験のない方にも感染してしまう可能性がある疾患です。

性器ヘルペスウイルス感染症の発生動向、2021年

性器ヘルペスウイルス感染症は感染症法の5類定点把握対象疾患で、地方自治体が定めた性感染症定点医療機関から感染症発生動向調査に報告されているデータです。

性感染症定点医療機関数は2007年以降1000弱でほぼ横ばいです。性感染症定点医療機関では医師が「症状や所見から性器ヘルペスウイルス感染症を疑い、かつ、届出のために必要な臨床症状(性器や臀部にヘルペス特有な有痛性の1から多数の小さい水疱性又は浅い潰瘍性病変)により、性器ヘルペスウイルス感染症患者と診断した」症例を月毎に集計し、性器ヘルペスウイルス感染症として報告しています。(※国立感染症研究所ホームページの該当記事より抜粋)

出典:国立感染症研究所ホームページ
・該当記事URL:https://www.niid.go.jp/niid/ja/genital-hsv-m/genital-hsv-idwrs/12087-genital-herpes-16jun.html

男女の報告数【図1】

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感染症発生動向調査における性器ヘルペスウイルス感染症の定点当たり報告数は、男性では2006年をピークに減少した後、2010年以降は横ばいであった。女性では2005年をピークに減少した後、2010年以降概ね微増傾向であった(図1)。2006年以降の報告数には、2006年4月に行われた「明らかな再発は除く」という届出基準の変更が影響している可能性がある。

男性の報告数【図2】

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5歳毎の年齢階級別定点当たり報告数は、男性では2021年は20代後半から40代前半が多かった。定点当たり報告数としては多くないものの、2015年以降20代前半で、2018年以降50代前半で増加傾向であった(図2)。

女性の報告数【図3】

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女性の年齢階級別定点当たり報告数は、2012年以降継続して20代後半が最も多かった。また、定点当たり報告数としては多くないものの、40代から50代前半は増加傾向であった(図3)。

臨床現場の見解

当クリニックでは、初発、再発の方がたくさんいらっしゃいます。特に、秋から冬にかけて少し寒く感じる特に、初発の患者様が多いように思います。寝不足、働きすぎの方は気を付けてお過ごしください。

当クリニックでは、内服薬処方いたしますが、重症の場合は当日に点滴治療を自費で行うこともできます。

 

性器ヘルペスと似た疾患

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性器ヘルペスは疼痛や潰瘍などの症状が特徴的ですが、他にも似た疾患がいくつかあり、治療のためにはしっかり区別することが重要です。

・梅毒

近年増えている性感染症です。
梅毒は、治療をしなければ症状が出たり消えたりしながら何年も経過していくという特徴があります。感染から3か月〜3年ほどの「2期」の時期には、膿の溜まった水疱がいくつもできる「膿疱性梅毒疹」の症状を呈することがあり、ヘルペスと見た目が似ていることがあります。

・ベーチェット病

口内や陰部の潰瘍、皮膚病変などを生じる難病で、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
性器ヘルペスと比べて潰瘍が深く、潰瘍よりも先に高熱が出る場合もあります。最も大きな違いは、疼痛の有無です。無痛性潰瘍の場合は、ベーチェット病を疑います。

 

性器ヘルペスの検査と治療

画像 性器ヘルペスの検査や治療についてご紹介します。

性器ヘルペスの検査

多くの場合、病変部位の視診によりかなりの割合で診断することが可能です。他の疾患と区別が難しいとき、治療をしても改善しないときなどには、ウイルスの抗原検査などをおこなうこともありますが、検出率はあまり高くありません。

早く治す方法は?性器ヘルペスの治療

まずは、抗ウイルス薬の外用薬または内服薬の使用が大切です。症状が軽快するまでの期間を短くしてくれます。抗ウイルス薬の内服薬は、症状がよくなったとしても処方された分を飲み切ってください。水疱がなくなっても、神経の中でウイルスが増殖を続けていることがあるためです。

歩けない、尿が出せないなど症状が非常に重い場合などには、入院して点滴の抗ウイルス薬治療をおこなうケースもあります。 症状に合わせ、鎮痛薬も併用します。 寝るべく早く抗ウイルス薬の服用を始めることで、症状の悪化も防ぐことができます。

内服開始後も疼痛が悪化する場合もあるため、鎮痛薬も同時に処方可能です。

当院は、土日・祝日を含め毎日診療しておりますので、症状があればいつでもご相談ください。院内処方可能ですので、受診後は院内ですぐに内服を開始できます。

再発が多い方には「PIT療法」も

再発の前兆がわかる方で、再発が多い場合は、前兆を感じたときにすぐに抗ウイルス薬を服用できるよう、あらかじめ医師が薬を処方しておく「PIT療法」を選択することもあります。

前兆を感じてから6時間以内に1回目、その12時間後に2回目の抗ウイルス薬を服用することで、症状の出現を抑えたり、症状を軽度に抑えたりすることが可能です。

学業や仕事ですぐに受診しにくい方などには、非常に安心感もあり、有効な方法といえます。

再発抑制療法

再発の頻度を抑えたい方、症状が重い方は、抗ウイルス薬を半年〜1年間に渡って毎日服用しながら、性器ヘルペスの再発予防を目指す方法もあります。

1年間に6回以上再発してしまう方には、保険適用です。

再発の回数を減らすことで、生活の質を高めることができます。再発が抑えられることで、同居しているご家族などへの感染リスクも軽減いたします。

性器ヘルペスの予防法

画像 性器ヘルペスを予防するために、できることをご紹介します。

再発を予防するために

再発は、心身に負荷がかかったとき、免疫力が低下したときに生じます。

【代表的な再発タイミング】

・睡眠不足
・疲労の蓄積
・月経前
・アルコールの飲み過ぎ
・精神的ストレスの蓄積
・他の性感染症の罹患
・免疫抑制薬の服用

規則正しい生活や、心身のストレスを溜めずにリラックスする時間をとることが重要です。

パートナーの理解を得る

性器ヘルペスの再発は、ストレスの蓄積や免疫力の低下によって再発が起こるのだということ、症状があるときはお互いに感染のリスクがあるため性的な接触はできないことを知ってもらいましょう。

また、症状が出ていない期間でも、男女問わず性器ヘルペスになったことがある方との性行為では、コンドームの使用を推奨いたします。

性交渉による感染確率

感染歴のあるパートナーと性行為をおこなう場合、1年間の中で感染する確率は5〜10%ほどあると言われているためです。100%ではありませんが、コンドームの着用である程度の予防効果は期待できます。

 

性器ヘルペスに関するQ&A

画像 性器ヘルペスに関連して、よく寄せられるご質問にお答えいたします。

Q. 症状がないときも感染する可能性がありますか?

症状がないと思っていても、ウイルスが活性化して性器表面に出てきていることがあります。自覚症状や目にみえる病変がないときでも、感染力があるという厄介な疾患です。 そのため、症状がないときでも、基本的に性行為の際はコンドームの着用を推奨いたします。

Q. 妊娠や出産は問題ありませんか?

性器ヘルペスになったことがあるからといって、妊娠や出産をためらう必要はありません。再発した時には治療薬を使用します。 ただし、出産のときに性器周辺に症状があると、赤ちゃんへ感染し、重い後遺症が残ってしまう可能性があり、帝王切開を選択しなければならないケースもあります。再発した時には速やかに担当の産科の医師に、症状を伝えましょう。また、妊娠中は免疫力が低下しやすいため、再発もしやすいです。

Q. 何科を受診すべきでしょうか?

女性は婦人科、男性は泌尿器科を受診しましょう。肛門周囲などに症状がある場合は、皮膚科でも対応してもらえる場合があります。 性器を中心とした症状であれば、他の疾患との鑑別もできることを考えると、婦人科を受診することを推奨します。

Q. パートナーが性器ヘルペスになりました。浮気をしているのでしょうか?

パートナーが性器ヘルペスだとわかった際、そのような不安をお感じになることはあるでしょう。 ですが、過去に無症状のまま感染していて気が付かなかったものが、再発で気がついただけの可能性もあります。

また、あなたが無症状感染者で、今回パートナーに感染させてしまったという可能性もゼロではありません。 性器ヘルペスは、一度感染すると常に再発のリスクがあること、無症状の場合も多いことから、いつ誰から感染したかを特定するのは難しいです。

性器ヘルペスになったからといって、必ずしも他のパートナーがいるとは限りません。 性的な接触をしてから24時間以上経過して発症していれば、感染しているかどうか検査をおこなうことは可能です。

ご心配であれば、医療機関でご相談ください。受診せず様子を見る場合は、パートナーの病変部位と接した箇所に症状が出ていないか、よく観察しましょう。

まとめ

今回は、性器ヘルペスについて原因や症状、感染経路、治療など総合的に解説をいたしました。

症状を感じない方も一定数おられますが、痛みを伴う水疱によって歩行や排尿も難しくなることがある非常に生活しにくい病気です。免疫力の低下により再発を繰り返し、心身のストレスにもなってしまいます。

日常生活にも気をつけて再発を抑えること、前兆があったらすぐに治療を始めることが重要です。
性器ヘルペスの症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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