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妊娠4週、妊娠を受け入れられないあなたへ

妊娠4週で、妊娠を受け入れられないあなたへ

 

妊娠したかどうかを早く知りたい方が沢山いらっしゃいます。

早く妊娠を知りたい方の中には、早く妊娠を知りたい、妊娠を望んでいる、不妊治療をしているという方と、妊娠したら困る、妊娠の準備ができていない、妊娠したらどうなるかわからなくて怖いという方が含まれるのではないでしょうか?

 

まず、妊娠したらどうなるのでしょうか?

妊娠をしたら月経が来なくなります。もともと、月経は赤ちゃんができなかったときに赤ちゃんを育てるため出来上がった子宮内膜を排出するための仕組みです。妊娠を待つ子宮内膜は血流や栄養が豊富です。そして、妊娠することができなくて、子宮内膜を入れ替える作業が月経です。受精卵が来るのを2週間待っていましたが、来ないようなら古い子宮内膜を片付けて新しい子宮内膜を用意しようというわけです。

 

この準備した子宮内膜に受精卵がやってくる。そして、子宮内膜に受精卵が潜り込み、受精卵と子宮内膜に血流交換を始めたい。その新しく作られる臓器が絨毛で後に胎盤となります。この絨毛成分がhCGを作りだします。そのhCGがママの血液に入り、尿として排出されます。これを検出するのが妊娠判定です。赤ちゃんが子宮内膜に到達して絨毛を作れば、妊娠判定が陽性になるという仕組みが「妊娠判定」です。ドラックストアで購入できますので、妊娠が早く知りたい方は妊娠判定検査キットに尿を反応させれば妊娠しているかどうかがわかります。

 

どの時期から妊娠判定が陽性になるかというと、月経周期が安定している方の場合、月経が来る日が想定できる日に判定を行えば、妊娠していれば妊娠判定陽性となります。一般的にはこの日が妊娠4週0日とカウントします。

妊娠していなければ、月経が来ます。妊娠していれば、月経は発来せず妊娠が進みます。妊娠判定は陽性でもまだ超音波検査で赤ちゃんを確認することはできません。それから3~5日ほど赤ちゃんが成長すると、経腟超音波検査で胎嚢といわれる小さい水分を含んだ袋を確認できます。この袋が見える前に出血が始まり、胎嚢が子宮内にとどまって成長することができない場合を化学流産と呼びます。「妊娠判定は陽性なのに月経が来てしまった」という場合が、化学流産です。

妊娠6週くらいになると、経腟超音波検査で胎嚢が大きくなり、胎嚢の中に胎児が発育して心臓ができ始め、心拍が確認できるようになります。この時期までに胎嚢の成長がなく心拍が確認できない場合は稽留流産の可能性があります。この胎児の心臓ができることが妊娠継続にはとても大切です。人間が死ぬという判定には、心臓の停止が重要な所見です。妊娠しているという判定にも、胎児の心拍確認が重要です。心臓が動いて身体に血流を巡らせることにより胎児は成長します。

 

このような理由により、妊婦さんから「妊娠していますか?」との質問に答えるのが、とても医師にとって難しい質問になります。受精卵が子宮内膜に到達してhCGが確認できる、赤ちゃんの成分がママの中に存在するというのが「妊娠」であれば、妊娠4週0日に妊娠していますとお答えできます。妊娠が継続することが「妊娠」であれば、妊娠6週の胎児心拍を確認して「妊娠しています」とお話しさせていただいております。

 

その中で妊娠していることが受け入れられない方がいらっしゃいます。

心理的要因、環境的要因、経済的要因、身体的要因など様々と思います。

 

まず、気になっているのが分娩恐怖です。最近の10年くらい、妊娠で訪れる妊婦さんの多くが分娩に対する恐怖をお話しされます。妊娠が確定するとすぐに無痛分娩のできる出産病院に対する質問を受けることになります。

最近は、ほとんどの分娩施設が無痛分娩に対応しており、出産病院の選択肢の幅は広がりました。計画分娩する施設、24時間麻酔分娩ができる施設が増えてきました。今まで、産婦人科医としてこの質問を受けるにあたり、無痛分娩に関して妊婦さんに知っておいてもらうべき分娩方法に関するメリットデメリットを説明しておりました。しかし、よくよく妊婦さんの話に耳を傾けると、分娩方法を知りたいのではなく、分娩自体を受け入れることが難しいという訴えがあることがわかりました。

失敗です。30年近く産婦人科をしているというのに、無痛分娩を希望するママたちは無痛分娩という分娩様式を選択しているのではなく、分娩の恐怖にどう対応していいかわからないと話していたとは。全く無神経な産婦人科医です。

この事実にどう対応していいかを考え始めました。

私が最も信頼している精神科医に、北村俊則先生がいらっしゃいます。北村先生に相談すると、いくつかの論文をお示しいただきました。そして、分娩恐怖は妊娠関連の痛み、生命リスク、赤ちゃんの異常という 3 種類の恐れられた状況があることが示されておりました。そして、介入により分娩が受け入れられるようになる可能性も示唆されております。もう少しこの点について産婦人科医は意識すべきではないか。反省しております。

 

妊娠判定後に妊娠受け入れられない妊婦さんのお話をもっと聞きたいと思います。模範解答はありませんが、妊娠が受け入れられない方も外来ご受診ください。

院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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