デリケートゾーンの灼熱感
更新日:2025.04.22
外陰部の灼熱感
デリケートゾーンの灼熱感という言葉がピンとこない方も沢山いらっしゃると思います。一方、「そうなのです!」と強く思われるかたがいらっしゃるかもしれません。
「そうなのです!」という方は、是非当クリニックにご相談にいらしていただきたいと思います。
今から5年ほど前に、明るい素敵な色のフレアスカートをお召しになっている患者様が受診されました。お話を伺うと10年ほど前に乳がんを患ったことがありという女性でした。手術後化学療法を行い、髪の毛は元通り近くまで回復したとのことでした。この時に最も困っていることは、外陰部の灼熱感とのことでした。外陰部の灼熱感という言葉をこの時まで聞いたことがありませんでした。外陰部に感じる焼けるような痛みや不快感のことをおっしゃっているようですが、このことを強く訴える患者様に初めてお会いしました。手術や化学療法の後、自然と月経はなくなり、徐々に外陰部の乾燥感や萎縮が強くなり、この灼熱感が出現してきたようです。どんどんその症状が強くなるにつれ、ズボンの股の部分が外陰部に当たるのが怖くなり、自然とスカートを着る機会が増えたようです。それから数年後、ストッキングを履くのも嫌になり、下着が当たるのも怖くなっていったとのことでした。婦人科診察すると、外陰部の皮膚は萎縮しており、血流は非常に少なく膣萎縮のため、子宮鏡での診察は困難で、子宮がん検診も行うことができない状態でした。どうしてこのような状態になってしまったのか。やはり、エストロゲンの低下は、特に、40歳以前の閉経は女性のQOLを著しく低下することがあるのだと、心に刻みました。子宮がんで両側卵巣を摘出する患者様の経過を長期にわたり診察することはありましたが、外陰部萎縮にそれ程意識を向けたことはありませんでした。カンジダによる感染症や細菌性膣症、アレルギー反応や皮膚刺激などでも生じる病態のようですが、その後、沢山の乳がん術後の外陰部の灼熱感を訴える患者様に出会いました。
近年、日本における乳がんの発生率が上昇し、北米では約10人に1人、フランスでは9人に1人、日本では8人に1人が発生するといわれるようになりました。生活習慣の変化、晩婚化と出産年齢の上昇、遺伝的要因、定期検診の普及、ホルモン治療の使用などが言われておりますが、子宮がんや卵巣がんだけでなく、乳がんの患者様を合わせるとかなり多くのホルモン補充療法を行うことができない患者様が増えているように思います。その方々にできる灼熱感の治療がほぼ壊滅的にない状況の中、膣レーザーは非常に画期的な治療法だと思います。女性にとって、必要な女性ホルモンがなくなるという現象は様々な不快な症状を引き起こすものです。そのすべてを補うことは不可能ですが、一つの選択肢にモナリザタッチはいかがでしょうか?

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。