女性は何歳まで妊娠できますか?
更新日:2025.01.11
女性は何歳まで妊娠できますか?
何歳まで妊娠できますか?という質問が、外来で時々きかれることがあります。
この2点について知りたいとのかな?と思い、排卵できる年齢と着床率についてお話しております。排卵は42歳くらいまでかなあとか、着床率は37歳から下降するよとか。最近の流行りの話題では、それではこの年齢では何個くらい卵子凍結や受精卵凍結をもつのがいいのかなんて聞かれたりして。沢山受精卵を残しておくことが安心材料になるという人がいたりして。
でも、最近、若い乳がんの女性診断することが多くて、この質問の説明に少し悩んでしまいます。
最近、外来で20代の乳がん疑いの方が2人、30代の不妊治療で大量にホルモン治療して受精卵ができたにもかかわらず、受精卵を子宮に戻す前に乳がんが見つかった方、40代の2歳のママで同じく大量ホルモン治療して受精卵をとり、子宮内に戻そうとしたときに進行した乳がんが見つかり、手術をした方。どのかたも、子宮にも卵巣にも異常はなく、受精卵を子宮に戻せば妊娠できることと思います。でも、妊娠すると女性ホルモンが急激に上昇して、乳がんは悪化してしまうのです。できれば、妊娠前に乳がん治療を行うのが適切な治療だと思います。妊娠してから乳がんが発見することもあり、医学は進歩して乳がん治療を妊娠中から開始するという選択ができるようになりました。しかしながら、妊娠中に抗がん剤を使用するのは、やはり親としては心配という方も多くいらっしゃると思います。でも、進行したがんをほっておくのも心配です。赤ちゃんには母親が必要なのです。そして、早く治療をしなければならないために、出産時期を早めて乳がんの治療に専念して頂いたこともありますが、母親としてこころを痛めただろうなとも思っておりました。
そして、乳がん治療と母乳育児は同時に行うことが非常に難しい。
これらのことを考えると、妊娠は乳がんになる前がいいです。乳がんは女性にとって一番罹患率の高いがんです。排卵着床が問題なくても、妊娠できても、妊娠出産育児に病気が重なると、思い通りにいかないことが増えてくる。
女性にとって何歳まで妊娠できますか?ときかれたら、母児共に健康を見込める年齢までと答えるしかないかな。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。