【婦人科でニキビ相談】ピルを飲むとニキビが良くなる?ニキビに効くピルを女医が解説。
更新日:2024.07.15
ピルでニキビが改善するの?
皮膚科や内科でニキビの治療を受ける際、ピルを処方されることがあります。
患者さんからも「ピルを飲むとニキビが良くなるのですか?」と質問されることがあります。
答えは「場合によります」です。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは
まずニキビに効くピルを解説する前に、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)という病態をご存じでしょうか。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、女性の卵巣に多数の小さな嚢胞が形成される状態を指します。この病態では、ホルモンバランスが乱れ、月経不順やテストステロンの上昇が見られることが多いです。PCOSの主な症状は次の通りです。
月経不順
不規則な月経周期や月経の欠如。
アンドロゲン過剰
男性ホルモン(テストステロン)の増加により、ニキビや多毛症が発生。
卵巣に多数の嚢胞
超音波検査で確認される多数の小さな嚢胞。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、は生殖年齢の女性に一般的な症状であり、早期の診断と適切な治療が重要です。
診断方法と症状
PCOSの診断には、以下の方法が用いられます。
1.問診
患者さんの月経周期や症状を確認します。
2.超音波検査
卵巣に多くの小さな嚢胞があるかどうかを確認します。
3.ホルモン検査
テストステロンのレベルが上昇しているかどうかをチェックします。
ニキビが改善するピルの効果
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者さんでは、テストステロンの上昇が見られることが多く、その結果として月経前にニキビが出ることがあります。この場合、ピルを服用することで排卵を抑制し、過剰なテストステロンの分泌を抑えることができます。これにより、ニキビの改善が期待できるのです。
しかし、すべてのニキビに対してピルが有効なわけではありません。PCOSに起因するニキビには効果が期待できますが、それ以外の原因によるニキビには効果がない場合もあります。したがって、正確な診断が重要です。
適切な診断と治療の重要性
皮膚科で原因が特定できない場合は、婦人科を受診することをお勧めします。ピルを内服する前には、以下の検査が必要です。
ホルモン検査
超音波検査
血栓症の有無の確認
乳がん検診
まとめ
ピルがニキビに効くかどうかは、原因となる病態によります。
特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)によるニキビには効果が期待できますが、その他のニキビには必ずしも有効とは限りません。正確な診断と適切な治療を受けるために、専門医の指導を仰ぐことが大切です。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。