理想的な膣とは?
更新日:2024.09.19
理想的な膣内の形は?
女性器
膣は管構造
やっぱり、人間は管構造が大事で、管構造が美しいと思う。
その管の内腔は真ん丸。デリケートゾーンには、尿道口、膣、肛門が真ん中に並んでいます。婦人科はこの中でも膣という真ん中に存在する管構造の専門家ですが、最近、この管のクオリティを追求する人が沢山いるんですね。ここは、ただの飾り物ではなく、生命の通り道としての神聖なる臓器です。産婦人科にとっては宝物の臓器。
でも、妊娠していない膣は、平均的な長さは約7〜10センチメートル、直径は約2.5〜3センチメートル程度の控えめな臓器です。この数値は個人差がありますが、一般的な参考値はこのくらいです。
産道としての膣
妊娠して、出産期を迎えるとこの小さな管構造は、子どもの通り道としての神聖なる産道となります。
大切なのは清潔であることと、子どものサイズに合わせて、過度な負担をかけることなく通りやすいサイズに変化すること、弾力があること。特に、出産時には膣が大きく伸び、通常の3倍から4倍ほどに広がり、直径が約10センチメートルになります。赤ちゃんが無理なく、スムーズに通過できるように設計されています。少しきつめになっていることにより、水の中の子宮では肺が水浸しになっている肺の水を体外に出して、呼吸のできる大きな肺に膨らみます。この管構造もやっぱり真ん丸が適しています。
※イラストはイメージです
精子や男性器に合わせた膣
妊娠していないときには、精子の通り道として大切なのは、こちらももちろん清潔であることと、男性性器のサイズに合わせて優しく伸び縮みすること、温かくて弾力があること。
膣は伸縮性に富み、性行為の際に快適に対応できる柔軟な真ん丸な管構造を持っています。妊娠時、非妊時、似ているようで、似ていないような…。膣の機能が保持されることは非常に重要。そして、やはり大切なのは丸い空間のある管構造。通り道ですから。とても順応性のあるしなやかな臓器ですね。
膣内にヒアルロン酸注入!?
話は変わりますが、時々、名器になるためにヒアルロン酸注入を勧められたという患者さんにお会いします。
美しい管にしなやかでない凹凸を作るのは、この美しい機能と形態を保持できないなあと感じています。収縮性のある「ひだ」をヒアルロン酸注入で作成するのは難しく、形状を変化させるくらい沢山ヒアルロン酸を注入することにより変形した膣を作ることが名器になると思い込んでいる人がいるのかも。
ヒアルロン酸注入を考えている方は、ヒアルロン酸が固まって障害物にならないよう、柔らかい皮膚を伸ばしすぎないよう、血流を遮断させないよう、膀胱や腸などの近くにある他の臓器の障害にならないよう、膣壁を貫通させないよう、出血させないように特別の注意を払って注入してほしいものです。
自然の管構造は、素敵だなあと私は思っています。
関連記事
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。