ABEMA Prime「トコフォビア」出演を終えて|出産への恐怖と医療者の役割
更新日:2026.07.19
ABEMA Primeで「トコフォビア」をテーマにした番組に出演させていただきました。
出演前に当事者のお二人とお話しして
当日は、出演の1時間ほど前から控室に入り、同じく出演される「あまやどり。」さんと高嶋さんのお二人とお話しする機会がありました。
お二人とも、最初からトコフォビアという言葉や病態について詳しく知っていたわけではなく、ご自身の体験を振り返りながら情報を調べる中で、「自分はトコフォビアなのではないか」と考えるようになったそうです。
今回の出演を決められたのは、ご自身の体験を伝えることで、一人でも多くの方に共感してもらい、「自分だけではない」と感じてもらえたら、という思いからでした。
そのお気持ちが多くの方に届くとよいなと思いながらお話を伺っているうちに、自然と会話も弾み、そのまま出演の時間を迎えました。
今回の出演で考えていた自分の役割
今回の出演は、愛育研究所所長であり、私の上司でもある竹田先生からお声がけいただいたことがきっかけでした。
竹田先生からは、「まだ十分に解明されていない病態であっても、情報を発信することには意味がある」と言っていただきました。
私自身は、勇気をもって出演を決められたお二人が、安心してご自身の思いを話せること、そして番組全体の内容が医学的な見地から大きく外れないように見届けることが、今回の自分の役割だと考えていました。
限られた時間の中で、トコフォビアという、まだ十分に知られていないテーマをどこまで正確に、分かりやすくお伝えできるかという不安もありましたが、無事に出演を終えることができました。
無痛分娩によってトコフォビアそのものを回避できるかは一概にいえません。しかし、分娩時の痛みが恐怖心につながることは決して不自然ではなく、出産において無痛分娩という選択肢があることは大切だと感じました。
妊娠や出産をどのように考えるかは、ご本人が決めること
出演後も、お二人とは30分ほどお話が続きました。
立場は違っても、「社会が少しでもよくなってほしい」という思いは共通しており、そのことを確認し合いながらお別れしました。
私は、トコフォビアの方の恐怖心を治療によってなくし、必ず出産してほしいと考えているわけではありません。
お二人も、そのようなことを求めているわけではないとお話しされていました。
妊娠や出産をどのように考え、どのような人生を選択するかは、とても個人的なことであり、あくまでもご本人が決めることです。
一方で、「出産が怖い」という気持ちは、程度の差こそあれ、誰もが抱き得る自然な感情の一つでもあります。
その不安が強く、日常生活や将来の選択にまで影響しているときには、医療者がその気持ちを否定せず、真摯に受け止めることが大切です。
出産への恐怖に対して医療ができること
医療者には、できる限り不安を和らげられるよう正しい医学情報を提供し、ご本人が納得できる選択を支える役割があります。
無痛分娩、妊娠前からの相談、心理的な支援、過去の出産体験へのケアなど、医療の側にもできることはまだ多くあります。
当事者の声に耳を傾け、そのニーズに応えられるよう、医療現場そのものも変わっていかなければなりません。
そうした積み重ねが、妊娠や出産に対する過度な不安を少しでも減らし、子どもを望む方が安心してその選択をできる社会につながっていけばと思います。
トコフォビアを知るきっかけに
今回の番組を通して、トコフォビアという言葉を初めて知った方や、同じような悩みを抱えている方が、「自分だけではない」と感じるきっかけになれば幸いです。
そして、周囲の方や医療者が、出産への恐怖を単なる気持ちの問題として片づけず、きちんと耳を傾けるきっかけになってほしいと願っています。
今回の出演にあたり、ご尽力くださった番組関係者の皆様、貴重なお話を聞かせてくださったあまやどり。さん、高嶋さん、そして背中を押してくださった竹田先生に、心より感謝申し上げます。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



