納豆は女性に必要な食品
更新日:2026.01.16
婦人科医が解説:やっぱり納豆はすごい。
女性の一生を支える“発酵の力”
「納豆は体にいい」とよく言われますが、その理由は“なんとなく”ではありません。近年、発酵によって生まれる成分や分子レベルの作用まで明らかになり、納豆の価値はますます注目されています。
本記事では、婦人科医の視点から、腸・血流・骨・更年期・将来の健康まで、女性のライフステージに寄り添う納豆の力をわかりやすく解説します。
なぜ今、納豆が再評価されているのか
納豆は、大豆を納豆菌で発酵させた日本の伝統食品。発酵の過程で、私たちの体にとって有用な成分が増え、吸収しやすい形に変わります。最近の研究では、従来知られていた栄養素に加え、発酵で生まれる新しい分子の存在も報告され、健康効果の“理由”が科学的に説明されつつあります。
① 腸内環境を整え、ホルモンバランスを支える
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、全身の健康に影響を与える臓器です。納豆は発酵食品で、腸内細菌のバランスを整える助けになります。
腸内環境が整うと、便通の改善だけでなく、免疫の土台が安定し、炎症が起こりにくい体づくりにつながります。
また、腸は女性ホルモンの代謝とも深く関係しています。PMS(月経前症候群)や更年期の不調を感じやすい方ほど、腸内環境のケアは重要です。日常的に納豆を取り入れることは、薬に頼る前の“生活習慣によるセルフケア”として非常に有効です。
② 血流を良くして、冷え・血栓リスクに配慮
納豆に含まれる酵素ナットウキナーゼは、血栓の形成を抑える働きが知られています。
冷えやすい、肩こりが強い、月経時に下腹部が重だるい――これらは血流が関与していることが少なくありません。血流が改善されると、末梢まで酸素と栄養が行き渡り、体が温まりやすくなります。
さらに、妊娠・出産、更年期、生活習慣の変化など、女性の体は年齢とともに血栓リスクの影響を受けやすくなります。食事で血流を意識することは、将来の心血管リスクを見据えた大切な一歩です。
③ 骨の健康を守る“天然のビタミンK2”
納豆は、**ビタミンK2(MK-7)**を豊富に含む、世界的にも珍しい食品です。ビタミンK2は、カルシウムを骨に取り込み、骨密度の維持を助ける重要な栄養素。ビタミンDだけでなく、一緒にビタミンKを摂取することは、大切です。
閉経前後から骨量は急激に減少しやすく、骨粗鬆症は将来の転倒・骨折リスクに直結します。
「カルシウムを摂っているのに骨密度が上がらない」という方は、“骨に入れるための栄養”が足りていない可能性があります。納豆は、骨の健康を“食事で支える”ための、非常に理にかなった選択です。
④ 最新研究:発酵で増える「超硫黄分子」とは
近年の研究で、納豆の発酵過程において、**「超硫黄分子」**と呼ばれる成分が増えることが報告されました。これは複数の硫黄原子が連なった分子の総称で、細胞を酸化ストレスから守る、シグナル伝達に関与するなど、体を内側から支える可能性が示唆されています。
まだヒトでの詳細な臨床効果は研究途上ですが、「なぜ発酵食品が健康に良いのか」を分子レベルで説明できる、新しい手がかりとして注目されています。
“昔から良いとされてきた食品”が、最新の科学で裏づけられ始めているのです。
妊娠期・更年期・将来の健康まで:ライフステージ別のポイント
● 妊娠を考える時期
腸内環境と栄養吸収を整えることは、妊娠準備の基本。納豆は植物性たんぱく質やミネラルの補給にも役立ちます。こどもの骨を育てるのにカルシウムを摂取することはとても大切ですが、ビタミンKも同時に摂取しましょう。
● 更年期
ホルモン変動による不調(のぼせ、疲労感、気分の揺らぎ)に対して、腸・血流・骨のトリプルサポートは大きな意味を持ちます。骨密度低下が始まる時期だからこそ、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK2は重要です。
● 将来の健康
これからは100年人生。血栓リスク、骨折リスク、生活習慣病――これらは“日々の食事”で差がつきます。納豆を継続的に取り入れることは、将来の自分への投資といえるでしょう。日本人で良かったとしみじみ思う今日この頃でした。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。



