第4回婦人科形成外科研究会
更新日:2024.06.22
2024年6月21日、第4回婦人科形成研究会が開催されました。毎回勉強になる研究会ですが、今回は、研究会理事である佐野仁美先生のお話に期待して、会場を訪れました。
内容は、他院修正から考える小陰唇縮小術〜修正の実例とトラブル回避のポイント〜
いろいろな形成術が行われており、その中で難しい症例が続々と佐野先生のところに集まって、手術されているとのこと。どれもこれも、悩ましい症例。特に気になるのが、どうしてこのような手術を受ける気持ちになったのか。また、その後どうすれば満足度が上がるのか。
小陰唇の役割を考えると、やはり膣乾燥の原因になってしまうほど切らないでほしいなあということ。大きな大陰唇を保持できる場合は小陰唇が小さくても大きな問題にはならないかもしれないが、小陰唇も大陰唇も年齢とともにどんどん小さく薄くなっていく。長期に患者さんにかかわる婦人科医としては、このボリューム減を考慮して形成してほしい。更年期における膣乾燥の悩みは、更年期になる前には想像しにくい。そして小陰唇の方から萎縮することが多く、会陰部の疼痛は下着をつけることができない方もいるほど。当院の膣レーザーにご来院いただく多くの患者様は、膣乾燥が強い。のどの渇きと同じくらいつらいとよく訴えを聞きます。
そしてもう一つ気になることは、処置の年齢が30代に多いこと。つまり、その後出産する可能性がある。小さく切った小陰唇の周囲が瘢痕化する症例もあるであろうと想像すると、分娩時外傷の原因になるのではないか?楔形に切除した小陰唇の縫合不全で穴が開いている小陰唇を形成しなおしても、分娩時には裂傷になるのではないか?そして、その形成術をできる婦人科医を育成しなければならないのか?
次々と産婦人科医である私は、悩んでしまう。せめて、出産時には、形成術の既往歴がある方は産婦人科医に相談してほしい。
新理事に肛門外科の那須先生が就任され、いろいろな専門職の方が参加してくださり、全国からいらしていただく形成外科の医師も多く
忌憚ないディスカッションができる研究会に感謝しております。快く、お手伝いいただいたDKSHの方にも感謝です。
次回の第5回婦人科形成外科研究会は11月8日、膣縮小術に関して、昭和大学⼥性⾻盤底センター 嘉村 康邦先生にご講演いただく予定です。
またまた、勉強になりました。もっともっと臨床に生かしたいです。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。