サルバトーレ教授との対話② 性交痛はどこから生じているのか
更新日:2026.05.25
もちろん、更年期症状や尿もれ、繰り返す膣炎などをきっかけに受診される方もいらっしゃいますが、最も切実な悩みとして語られるのは、やはり性交時の痛みです。
私は6年間、モナリザタッチの診療を続ける中で、ある傾向を感じてきました。
若い患者様では、いわゆる膣前庭部の痛み、特に小陰唇の内側と膣口の外側の疼痛を訴える方が多く、一方で更年期以降の患者様では、膣口から肛門にかけての会陰部の菲薄化した部分に痛みを感じる方が多いように思います。
私は以前から疑問に思っていたこの点について、サルバトーレ教授に率直に質問させていただきました。
「私の印象では、性交痛の原因となる部位は膣の奥というよりも、むしろ膣前庭や会陰部に多いように感じています。萎縮性膣炎とは少し異なる気がします。特に若い方と更年期以降の方では、痛みの部位に違いがあるように思うのですが、先生はどうお考えですか?」
すると教授は、
「私も同意します。」
と答えてくださいました。
世界的な権威の先生が、日々の診療で私が感じていたことに共感してくださったことは、大変うれしい瞬間でした。
さらに私は、
「その疼痛緩和には、モナリザタッチによるレーザー照射が有効だと思っています。」
とお話ししました。
教授はこれにも理解を示され、「レーザー照射は、そのような組織の改善に有効であると思います。」
という見解を共有してくださいました。
私自身、モナリザタッチによって膣粘膜だけではなく、膣入口部や会陰部の組織状態が改善し、結果として性交痛が軽減している患者様を数多く経験しています。もちろん、まだ解明されていないことも多くあります。
しかし、患者様の笑顔や「痛みがなくなりました」という言葉は、私たちに大きなヒントを与えてくれています。
また私は、重症の会陰部裂傷や高度な組織菲薄化を認める患者様に対して、胎盤由来成長因子を含むプラセンタ製剤を局所注入する治療も行っていることをお話ししました。
教授は少し驚かれた様子でしたが、
「興味深い治療ですね。」
と耳を傾けてくださいました。
私は博士課程で胎盤老化の研究を行いました。胎盤にはさまざまな成長因子が豊富に含まれており、女性性器の再生医療に応用できる可能性があると考えています。特に、分娩時の組織修復に役立っている可能性があるのではないかと考えています。
まだ十分なエビデンスがあるとは言えません。
しかし、臨床の現場で患者様が実際に改善していく姿を見るたびに、この分野には大きな可能性があると感じています。
今回のサルバトーレ教授との対話を通じて改めて感じたのは、医療の進歩は研究室だけで生まれるものではなく、日々の診療の中で生まれる小さな気付きから始まるということです。
これからは、
「性交痛はどこで起きているのか」
「どのような患者様にモナリザタッチが最も有効なのか」
「会陰部や前庭部への治療はどのような役割を果たしているのか」
といったテーマについて、より詳細な解析を進めていきたいと思います。
4,100例を超えるモナリザタッチ治療の経験を通じて、世界の女性たちのQOL向上につながる新たな知見を発信していくことが、私に与えられた使命の一つなのかもしれません。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。



