モナリザタッチはどこに照射する?腟内・腟前庭部・外陰部の3部位を解説
更新日:2026.08.06

患者さんから、
「モナリザタッチは、腟の中だけにレーザーを当てる治療ですか?」
というご質問をいただくことがあります。
結論からお伝えすると、必ずしも腟内だけではありません。
当院では、基本となる「腟内」「腟前庭部(腟入口部)」「外陰部」を分けて確認し、頻尿や排尿時の刺激感などがある場合には、尿道口周囲の状態も確認します。
モナリザタッチではどこを確認・照射するのでしょうか?

患者さんが「腟が痛い」「腟が乾燥する」と感じていても、診察すると、症状が起きている場所は一人ひとり異なります。
ここでは、当院が症状に応じて確認する主な部位を解説します。
腟内
モナリザタッチで基本となる治療部位です。
閉経前後に女性ホルモンが低下すると、腟粘膜が薄くなり、潤いや弾力が低下することがあります。その結果、次のような症状がみられる場合があります。
- 腟の乾燥感
- 摩擦による痛み
- 性交時や内診時の痛み
- ヒリヒリ感・灼熱感
- 接触による少量の出血
フラクショナルCO₂レーザーの腟内照射については、腟粘膜の上皮やコラーゲン、血流などに関する組織学的変化が報告されています。
一方で、治療への反応には個人差があり、すべての症状に同じ効果が得られるわけではありません。症状の原因と治療の適応を診察で確認することが重要です。
腟入口部(腟前庭部)
性交痛の患者さんへ「どこが痛みますか?」と伺うと、「腟の奥ではなく、入る瞬間に入口が痛い」とお話しになる方がいらっしゃいます。
実際に診察すると、小陰唇の内側や腟口周囲にある腟前庭部へ触れたときに、痛みや圧痛がみられる場合があります。
腟前庭部は知覚に関わる神経終末などが多い場所で、乾燥や炎症、摩擦などの影響を受けると痛みを感じることがあります。
当院では、必要に応じて綿棒などを用い、痛みが生じる場所を患者さんと一緒に確認します。
入口が痛いからといって、必ず腟前庭部レーザーが必要になるわけではありません。
感染症、皮膚疾患、傷あと、骨盤底筋の緊張などが関係している場合もあるため、原因と適応を確認してから治療方法を検討します。
尿道口周囲
尿道口周囲は、腟や外陰部と同じように、女性ホルモンの低下による影響を受けることがあります。
更年期以降では、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の一部として、次のような尿の症状がみられる場合があります。
- 排尿時のヒリヒリ感・刺激感
- 尿道口周囲の乾燥や違和感
- 頻尿
- 急に強い尿意を感じる
- 尿漏れ
- 膀胱炎のような症状を繰り返す
診察では、腟内だけでなく、尿道口周囲の乾燥や萎縮性変化、赤み、炎症なども確認します。症状と診察所見を確認したうえで、必要に応じて治療範囲を検討します。
頻尿や尿漏れ、排尿時の痛みには、尿路感染症、過活動膀胱、骨盤底筋の機能、膀胱や尿道の病気などが関係することもあります。尿道口周囲へのレーザーを一律に行うのではなく、ほかの原因がないかを確認することが大切です。
外陰部
患者さんが「腟が乾燥する」と表現されていても、実際には小陰唇・大陰唇・会陰部など、外陰部の皮膚に乾燥や炎症がみられることがあります。
外陰部の状態によっては、次のような症状が起こります。
- 下着やナプキンが擦れて痛い
- 座る・歩く・自転車に乗ると痛い
- かゆみや灼熱感がある
- 皮膚が切れやすい
- 触れるとヒリヒリする
外陰部では、感染症や接触皮膚炎、硬化性苔癬など、レーザーより先に診断・治療すべき病気が見つかることもあります。
乾燥だけでなく、赤み、傷、びらん、色調の変化、皮膚疾患の可能性なども確認します。
レーザーが適さない場合や、別の治療を優先する場合もあります。
全員にすべての部位を照射するわけではありません
当院では、腟内・腟前庭部・外陰部を基本的な3領域として分けて評価し、尿の症状がある場合には尿道口周囲も確認します。
症状に応じて確認する主な範囲
乾燥だけの方、性交時の入口の痛みが中心の方、尿の症状が中心の方では、必要な診察や治療が異なります。
照射部位を決める前に、症状の原因を確認します
モナリザタッチでは、レーザーをどこへ照射するかを先に決めるのではなく、症状が起きている場所と背景を確認することが重要です。
同じ「性交痛」でも、腟内の乾燥、腟前庭部の圧痛、外陰部の皮膚疾患、骨盤底筋の緊張、子宮や卵巣などの婦人科疾患では、必要な治療が異なります。
当院が部位を分けて評価するようになった背景
当院では2019年11月にモナリザタッチを導入し、当初は海外の研究や一般的な方法に沿って、腟内を中心に治療していました。
しかし、診療を重ねる中で、腟内の乾燥感が軽くなっても「挿入する瞬間の入口の痛みが残る」とお話しになる患者さんがいらっしゃいました。
そこで、痛みや乾燥が起きている場所を分けて確認するようになり、現在の「腟内・腟前庭部・外陰部を分けて評価し、尿の症状があれば尿道口周囲も確認する」という診療方針につながっています。
2019年11月の導入から2026年7月までのモナリザタッチ施術件数は4,300件以上です。
※同一の患者さんが複数回受けた施術も含む件数であり、患者数を示すものではありません。
レーザー以外の治療を優先する場合もあります
レーザーは治療選択肢の一つですが、すべての乾燥、性交痛、ヒリヒリ感、尿の症状をレーザーだけで治療できるわけではありません。
- 腟炎・外陰炎・性感染症などが疑われる
- 外陰部の皮膚疾患、傷、びらんなどがある
- 骨盤底筋の強い緊張が痛みの中心になっている
- 子宮や卵巣などの婦人科疾患による深部痛が疑われる
- 尿路感染症、過活動膀胱など、尿の症状に別の原因が考えられる
- 原因が確認されていない出血や強い痛みがある
施術後は摩擦を避け、状態に合ったケアを行います
レーザー照射後は、一時的にヒリヒリ感や乾燥感などが生じることがあります。照射した場所と組織の状態に合わせて、摩擦を避け、必要に応じて保湿などのケアを行います。
ただし、すべての方に同じホームケアが適しているとは限りません。感染症や皮膚疾患がある場合には、先にその治療が必要になることがあります。
モナリザタッチの料金・治療回数・注意点
当院の主な施術料金
| モナリザタッチ 1回 | 55,000円(税込) |
|---|---|
| モナリザタッチ 3回コース | 149,400円(税込) |
| 腟前庭部レーザー 1回 | 55,000円(税込) |
※モナリザタッチおよび腟前庭部レーザーは自由診療です。初診料・再診料・麻酔料などが別途必要になる場合があります。治療の適応、照射部位、回数は診察のうえで判断します。料金は記事更新時点のものであり、最新情報は治療ページでご確認ください。
施術後に、痛み、ヒリヒリ感、熱感、赤み、腫れ、分泌物の増加、少量の出血、排尿時の刺激感、かゆみなどが生じることがあります。まれに、感染、熱傷、びらん、瘢痕、色調変化、痛みや違和感の遷延などが起こる可能性があります。また、治療を受けても期待した変化が得られない場合があります。
治療回数は症状や診察所見、治療後の反応によって異なります。「何回受ければよいか」については、以下の記事で詳しく解説しています。
モナリザタッチの照射部位についてよくあるご質問
全員に腟内・腟前庭部・尿道口周囲・外陰部を照射しますか?
いいえ。診察では症状に応じて複数の部位を確認しますが、実際に治療する場所と方法は患者さんごとに異なります。レーザー以外の治療を優先することもあります。
性交時に入口が痛ければ、腟前庭部レーザーが必要ですか?
必ず必要になるわけではありません。入口の痛みには、乾燥や萎縮性変化のほか、感染症、皮膚疾患、傷あと、骨盤底筋の緊張などが関係することがあります。診察で原因と適応を確認してから治療方法を検討します。
頻尿や尿漏れがあれば、尿道口周囲へ照射しますか?
一律には行いません。尿の症状にはGSM以外の原因もあるため、症状や尿道口周囲の状態を確認し、必要に応じて検査やほかの治療を検討します。
オンライン診療で照射部位を決められますか?
オンライン診療では、症状や受診先、治療選択肢について相談できます。ただし、視診・触診・内診・検査ができないため、痛みの場所や照射の適応を確定するには来院による診察が必要です。
まとめ|大切なのは、照射前に症状の場所と原因を確認することです
モナリザタッチは、腟内だけに一律にレーザーを照射する治療ではありません。
当院では、腟内・腟前庭部・外陰部を分けて評価し、尿の症状がある場合には尿道口周囲も確認します。そのうえで、症状が起きている場所と原因を考え、レーザー以外の選択肢も含めて治療方法を検討します。
確認する場所が複数あることと、全員にすべての部位を照射することは同じではありません。
乾燥、性交痛、ヒリヒリ感、尿の違和感などでお悩みの場合は、まず症状がどこから来ているのかを確認するところから始めます。
参考文献
- Salvatore S, et al. A 12-week treatment with fractional CO2 laser for vulvovaginal atrophy: a pilot study. Climacteric. 2014.
- Salvatore S, et al. Histological study on the effects of microablative fractional CO2 laser on atrophic vaginal tissue. Menopause. 2015.
- Li FG, et al. Effect of Fractional Carbon Dioxide Laser vs Sham Treatment on Symptom Severity in Women With Postmenopausal Vaginal Symptoms. JAMA. 2021.
※フラクショナルCO₂レーザーに関する研究には、症状の変化や組織学的変化を報告したものがある一方、偽治療群との差が明確でなかった研究もあります。治療効果には個人差があり、すべての方への効果を保証するものではありません。
乾燥・性交痛・外陰部や尿道周囲の違和感をご相談ください
モナリザタッチが適しているかどうかは、症状の場所や原因によって異なります。まずは診察で状態を確認し、必要な検査・治療・ケアを一緒に考えていきます。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



