東京こどもホスピスプロジェクト
更新日:2025.04.09
2025年4月8日、東京白金ロータリークラブの夜間例会および「NPO東京こどもホスピスプロジェクト」チャリティコンサートが「Y.A.Bar」にて開催されました。
2025年3月17日シェラトン都ホテルに、同じ京浜グループの東京大森ロータリークラブの伊藤英孝次期会長からのご紹介でNPO団体の代表佐藤良絵さんが東京白金ロータリークラブの卓話来てくださいました。このお話の中で、東京都内に小児がんや病気の治療で学校に行けない子どもたちに、退院後に遊びや学習ができるができる場所がないことを初めて知りました。その子供たちに「心おきなく、安心して笑顔で集まれる場所を用意してあげたい」という気持ちで、このNPO団体意を立ち上げていらっしゃる佐藤さんに大変感銘を受けました。佐藤さんのお子様も小児がんで亡くされている経験がおありになるとのことで、その経験に基づいた活動内容は素晴らしいものです。早速、東京白金ロータリークラブのチャリティコンサートを企画させていただくことになりました。
私のこころに残る白血病の患者さんがいます。
まだ、医学生だったころにとても親しくしていた15歳の白血病の女の子がいました。血液内科の知識はまだとても浅く、彼女がどんな症状でどんな治療で、その後どういう人生を歩んでいかなければならないかをよくわかってはいませんでした。ただただ、病室でお話し相手になるのが精一杯でした。白血病の治療はつらいものが多いのですが、特にその診断と治療に欠かせない骨髄検査は強い痛みを伴う検査でした。骨膜は麻酔の効きが悪くその苦しみを見るのはとてもつらいものでした。でもいつか、きっと治ると信じていました。
彼女のささやかな夢は、マニキュアをしたいということと、元気になって学校に行きたいということ。どうして病院でマニキュアが禁止されているのか、そして、彼女がマニキュアを希望していることを主治医に訊くのがためらわれ、時間は過ぎていきました。お話の数日後、彼女を訪れると部屋が処置室に移動されており、暗い照明を落としたお部屋の中に意識のなくなった彼女とお母様いらっしゃいました。私は意識のない彼女の状況をうまく理解できず、とても驚き、普通の人と同じようにショックを受けました。その後、彼女の主治医から彼女の病態を詳しく医学生として教えて頂きましたが、心の中でうまく処理ができないまま、医師になりました。もう、彼女にあうことはできません。
今になったら、少し立場が変わり、できることできないことがわかります。マニキュアは、塗ってあげればよかった。酸素飽和度を測定するときにマニュキュアをしていると上手く測れないので、病棟では禁止しています。ですが、一時的に塗ってあげて、満足したらとってあげればよかった。学生の私にはこのアイデアがなく、また、ルールを破ることを主治医にいう勇気がなかった。このことを深く後悔しています。一つだけでも夢を叶えてあげたかったけど、できなかった。
そして、学校に行きたいという夢は、とても難しい夢でした。お友達と遊びたいけど、病気だから一緒に遊べない。お友達に忘れられてしまっているのではないかと想像すると怖くなる。学校に行くときに電車に乗らなければならないけど、また眩暈で倒れてしまうと思うと怖くて電車に乗れない。大勢の人の中に行くのが怖い。やはり、叶えてあげられない夢になってしまいました。
血液内科医になるのは、患者さんと同じようにこの病気がとても怖くて、専攻することができませんでした。
卓話での佐藤さんの熱意はよく理解できました。過去の記憶がよみがえり、「NPO東京こどもホスピスプロジェクト」を支援したいと強く思いました。今は、私も精神的に強くなりました。医師という仕事もわかってきました。大人になった今の私なら、もう少し難病の患者さんに協力できることがあるのではと思っています。
京浜グループの次期ガバナー補佐の日高一隆さんも来年度ロータリー活動の中で、積極的にサポートして頂けるとのお話がありました。
港区区長の清家あいさんに、連絡しました。港区内の施設設立について考えて頂ける方法を教えて頂きました。
学生のころから知っているAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)に所属する後輩の小児科医に相談したところ、このNPO団体をサポートしてくださる熱意ある病院の医師をご紹介していただけることになりました。実際の活動にもサポートしていただけるようです。
聖心女子大学の心理学部の准教授も、大学内で使用できる施設を探してくださるとのことでした。
川崎の市議会議員の仁平かつえ先生も、病院内の施設を使用できるか等検討していただけるとのことでした。
そして、私もこの「Y.A.Bar」で、小さな憩いの場を提供できるように具体的に活動してみようと思いました。
今回のチャリティコンサートは、東京白金ロータリーのパスト会長の小倉薫雄さん、パストガバナーの宮崎陽市郎さん、東京ピースウィングロータリーEクラブの遠藤律子さん、山口彰さん、おおぬきのりこさんの演奏で大変盛り上がり、皆様の心が一つになった素敵な時間を経験することができました。
佐藤さんのご挨拶中に、白血病の女の子からのテレビ電話も、大人の心をぐっと掴む主観でした。
これからどれくらい支援できるかはわからないのですが、来年度東京白金ロータリーの一年間の会長方針の中に、「奉仕」の言葉はきちんと入れようと決めた夜でした。
ご参加、ご協力していただいた皆様、ありがとうございました。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。