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院長ブログ

【不妊治療】妊娠率アップの新常識!?EMMA/ALICE(エマアリス)検査で分かるラクトバチルスの重要性

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子宮内のラクトバチルスを増やす方法について考える機会がありました。

EMMA/ALICE(エマアリス)検査※1を行う株式会社アイジェノミクス・ジャパンの担当者とお話しする機会があり、興味深いお話を伺いました。

この検査では、子宮内膜からラクトバチルス※2のDNAを解析できるようになったそうです。20年ほど前、私が埼玉医科大学総合医療センターの病棟医長を務めていた頃、不妊治療を受けた妊婦さんの早産率が高い問題に直面していました。特に絨毛羊膜炎を伴う場合、抗生剤を長期使用しても妊娠後期までの妊娠維持が困難なケースが多くありました。

その当時、不妊専門医に不妊治療中の妊娠前の患者様の子宮内膜細菌叢※3の改善を依頼したこともありましたが、当時の常識では「子宮内膜は無菌である」と考えられており、膣炎があったにせよ、膣炎を治療してからの子宮内操作をしてもらうように依頼しましたが、受精卵の着床率には無関係という理由で対応してもらえませんでした。

流産や死産後に子宮内膜の培養検査を行い、流産や死産に子宮内感染症の関連性を疑うこともありましたが、その後の妊娠の注意点に子宮内感染症の治療が加えられることはありませんでした。

現在では、株式会社アイジェノミクス・ジャパンの検査により子宮内膜細菌叢※3DNAレベルで解析できるようになり、ラクトバチルス※2が少ない子宮内膜では着床不全がこることがわかるようになりました。

20年以上前の私は周産期医療への情熱を持って取り組んでいましたが、早産の原因が絨毛羊膜炎であることが分かっていたにもかかわらず、子宮内感染の原因究明をすることはできませんでした。DNAレベルの検査の普及から医療技術の進歩が本当の疾患の解決の鍵であると実感しました。

この検査が確立したことは大変意義深いと思います。

今では不妊治療が開始される段階で、膣内子宮内細菌叢の検査後、抗生物質で有害細菌を除菌し、その後ラクトバチルス※2を補うサプリ(ラクトサプリを使用することで、子宮内膜のラクトバチルス※2が増え、受精卵の着床率が上昇し、妊娠率の上昇につながるという報告もあるようです。

EMMA/ALICE(エマアリス)検査※1の導入時の検討事項

ラクトサプリの活用や低ラクトバチルスの原因となる可能性がある子宮血流障害の改善方法を検討することが重要です。

おなかを温めることや、足を冷やさない、ストレスをためないなどの生活習慣の見直しも効果が期待できると思われます。たとえば、日本人に馴染みのある発酵食品(味噌汁や漬物)を摂取し、食物繊維を一緒に摂ることでラクトバチルスの腸内増殖を促進することが考えられ、ひいては膣内環境や子宮内環境の改善に役立つと思われます。

また、適度な運動やお風呂でリラックスすることも血流改善に役立ちます。

不妊に悩む方への医療の選択肢が増えるのは素晴らしいことであり、これが少子化対策に繋がることを期待しています。日本人が減少せず、未来に向けて希望を持てる社会になることを願っています。 

一方で、以下の点も気になります。

子宮血流を減少させる可能性がある低容量ピルの妊娠前の長期使用は問題ないのか?
低容量ピルの連続使用が子宮内膜の血流に影響を与え、着床障害を引き起こさないのか?

これら今後の研究や検討が必要です。

毎月、月経血を失血することで骨髄を刺激し、出産時の造血機能を温存できているのではないか?ちょっと行き過ぎの考えかもしれませんが、気になります。

 

1EMMA/ALICE(エマアリス)検査とは?

子宮内膜の細菌バランスを調べ、細菌の種類や量を測定する検査です。この結果を基に細菌バランスを整える治療を行うことで、受精卵の着床不全や慢性子宮内膜炎の原因となる細菌を早期に発見し、適切な治療を進めることができます。

2:ラクトバチルスとは?

ラクトバチルスは子宮内や膣内に存在する善玉菌で、乳酸を生成して環境を酸性に保ち、有害な細菌の増殖を抑える働きを持っています。ラクトバチルスが多いと子宮内環境が安定し、着床や妊娠の成功率が高まることが知られています。

3:子宮内膜細菌叢とは?

子宮内膜細菌叢は妊娠過程において重要な役割を果たします。バランスが良好であれば妊娠をサポートし、不均衡になると着床不全や炎症の原因となります。EMMA/ALICE検査は、この状態を調べて適切な治療計画を立てるのに役立ちます。

ラクトサプリについて

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当院ではラクトサプリを取り扱っています。詳しくは下記記事よりご確認ください。

膣内の常在菌を強くする「ラクトサプリ」
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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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