会陰部のひび割れ
更新日:2024.01.30
陰部のひび割れってどういうこと?
と思われるかもしれません。
膣の後側と肛門の間の場所が裂けてしまう方の相談を時々受けます。
膣や会陰部は自然に生じる加齢性変化によって、乾燥したり、小さく萎縮してしまったり、時には偶然に裂けてしまうことがあります。よく口角炎で生じる裂傷のような感じで、座るのも痛くて困るという主訴の患者さんもいらっしゃいます。
今から20年前の私は、ただかわいそうと思いながらひたすらステロイド外用薬を塗布して、経過観察しておりました。萎縮性膣炎が原因のこともあると思い、エストリールという女性ホルモンの膣錠を処方して経過観察しておりました。
膣レーザー(モナリザタッチ)導入後、同じような悩みの方に遭遇しました。
会陰部がくっきりと裂けていて、痛くて仕方がないと大変悩んでおられました。依然の私なら、間違いなくステロイド投与でしたが、実際効果も薄く、ステロイド投与は長期使用に向かない製剤でもあり、思い切って患者様の同意を得て膣レーザー処置を開始しました。裂傷部位にレーザーを照射することにより、組織の再生を促すことができるのではと思ったからです。
たった一度の照射で、その裂傷は治りました。私自身が一番驚きました。もちろん患者さんには大変感謝されました。
全ての創傷にレーザーが有効だということははっきりと言えませんが、細胞の修復機能が低下している更年期後の外陰部の治療にレーザーは非常に優秀な医療機器だと感じました。
難治性の裂傷の患者様は、ぜひお試しいただきたいと思います。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。