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「女性の過活動膀胱」原因はストレス?症状・治療法・お薬など尿漏れトラブルを女医が丁寧に解説。

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「突然、我慢できないほどの尿意をもよおして困っている」

「頻尿で外出もおっくう」

そんな風に、尿に関するお悩みはありませんか?

もしかすると、「過活動膀胱」と呼ばれる状態かもしれません。40歳以上でだんだんと増えてくる病態ですが、20歳くらいから同じような症状が出てくる方もいらっしゃいます。なんとなく気恥ずかしさもあり、相談できずに悩んでいる女性が多いと思います。

過活動膀胱の症状に当てはまるという方は、ぜひご相談ください。

 

過活動膀胱とは?

まずは、過活動膀胱がどのような病態なのか、詳しく解説します。

過活動膀胱のメカニズムと症状

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通常、排尿は脳からの指令できちんとコントロールされています。「尿を我慢する」「尿を出す」という命令に従って、膀胱や筋肉の動きが調整され、適切なタイミングで排尿ができるような仕組みになっています。

ところが、何らかの原因で膀胱にうまく尿を溜めておけなくなると、ご自身の意思とは無関係に膀胱が収縮してしまい、突然の尿意や尿失禁となります。 過活動膀胱の症状としては、次の3つが挙げられます。

・尿意切迫感

急に尿意をもよおし、漏れそうで我慢ができない感覚になる状態です。

・切迫性尿失禁

急に尿意をもよおし、我慢できずに漏れてしまう状態です。

・頻尿

日中に8回以上、または夜間に1回以上トイレに行くようであれば、頻尿といえます。

過活動膀胱の原因

女性の過活動膀胱の原因としては、大きく2パターンが考えられます。

①骨盤底筋群の衰え

加齢、妊娠や出産、肥満、運動不足などにより、排尿に関わる骨盤底筋群の機能が衰えることが原因で、過活動膀胱の症状がでます。閉経による女性ホルモン分泌の低下も、骨盤底筋群の衰えと関連があります。

本来は骨盤内にある臓器(子宮、膀胱、直腸など)がだんだんと下がってきて、腟から体外に出てしまう「骨盤臓器脱」も、子宮や膀胱・直腸を支える靭帯のゆるみと骨盤底筋群の衰えにより生じる状態です。原因として形態学的な問題なので、薬での治療は効果が低く、手術が必要になることがあります。

②神経のトラブルによるもの(神経因性膀胱)

脳梗塞、パーキンソン病をはじめとした神経の疾患などにより、排尿をコントロールする神経の伝達がうまくいかず、過活動膀胱となることがあります。糖尿病の悪化が原因で、排尿のコントロールが難しくなる方もいます。

過活動膀胱は男女ともに加齢で増える

過活動膀胱の方は、40代ごろから少しずつ増えていきます。男女の有病率に、大きな差はありません。

日本の調査によると、40代・50代では5%程度、60代で10%、70代で20%、80代で35%程度の女性方が過活動膀胱の症状に悩まされているようです。 半数近い方が、「恥ずかしい」「何科に行けばいいかわからない」といった理由から受診出来ていないという報告もあります。夜間にトイレのために起きる回数が多いと、よく眠れないだけでなく、転倒して骨折してしまうなど、危険性も高まります。

女性の場合は、婦人科で相談できる事が多いです。お困りの症状があれば、お近くのクリニックへお問い合わせください。

 

過活動膀胱をチェックしてみましょう

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次にお示しする質問に答えて、何点になるかチェックしてみましょう。 

    頻度 点数
朝起きてから寝るまでに、何回くらい尿をしますか? 7回以下 0
8〜14回 1
15回以上 2
夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きますか? 0回 0
1回 1
2回 2
3回以上 3
急に尿がしたくなり、我慢が難しい事がありますか? なし 0
週に1回より少ない 1
週に1回以上 2
1日に1回くらい 3
1日に2〜4回 4
1日5回以上 5
急に尿がしたくなり、我慢できずに尿をもらす事がありますか? なし 0
週に1回より少ない 1
週に1回以上 2
1日に1回くらい 3
1日に2〜4回 4
1日5回以上 5

質問③が2点以上、かつ合計で3点以上の場合、過活動膀胱だと考えられますので、ご相談ください。

とくに、6点以上の方は日常生活でお困りのことが増えてくると思います。尿の心配のせいでお出かけを控えてしまったり、女性としての自信を失ったりするのは、さみしいことです。積極的な治療をおすすめいたします。

治療中の方は、以前より良くなっているかどうかの判断にも使えるチェックシートです。

 

過活動膀胱の治療

画像 過活動膀胱の治療は、さまざまなアプローチを組み合わせることが大切です。数週間〜数か月程度で効果を実感できることが多いので、治療開始後すぐに効果を実感できなくても、焦らずに続けてください。

膀胱訓練・骨盤底筋群のトレーニング

膀胱訓練は、尿意がきても排尿を我慢することで、「尿を溜める」機能を訓練していく方法のことです。

「尿意を感じたらすぐにトイレへ行く」「尿が溜まっていないのに、予防的にトイレへ行く」ということを繰り返していると、ますます膀胱に尿を溜めておけなくなってしまいます。そうならないために、膀胱に尿を溜める練習をするのです。 尿の頻度、間隔などを知るために「排尿日記」をお願いすることもあります。

くしゃみをしたとき、重たいものを持ったときなどのタイミングで尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」の要素もある方は、骨盤底筋群のトレーニングもおすすめです。 当院では、腹圧性尿失禁の方に「尿もれプログラム」をご提案しております。電気刺激療法、エムセラ、モナリザタッチなどさまざまな治療法をご提案可能です。また、ご自宅でできる骨盤底筋体操も指導いたしますので、実施してみてください。

尿もれプログラム詳しくはコチラ

内服薬

切迫性尿失禁は、内服薬の効果があります。副作用の少ない新しい薬も出ているほか、漢方薬が合う可能性もあります。

<切迫性尿失禁の場合>

・抗コリン薬 膀胱の筋肉が勝手に収縮しないように制御する薬です。膀胱に尿を溜めておきやすくなりますが、副作用として口の渇き、便秘などが出る事があります。

・β3受容体作動薬 膀胱の筋肉をゆるめ、収縮しにくくする薬です。抗コリン薬と比較すると、副作用が少なく使いやすいです。

<腹圧性尿失禁の場合>

・β2受容体刺激薬 尿道の筋肉を引き締め、ちょっとした刺激で尿が漏れてしまうのを防げることがあります。

生活指導

トレーニングや内服治療に加え、過活動膀胱に悪影響がある要因について、可能な範囲で除去していくことをおすすめしています。

たとえば、適正体重に近づけること、運動をすること、カフェインをとりすぎないこと、食事内容の見直し、禁煙などが大切です。 体重増加は、男女ともに切迫性尿失禁などと関連があるとわかっています。内臓脂肪を減らすような運動をおこなって減量することで、排尿回数を減らしたり、尿失禁の発症を抑えたりすることが可能です。

食事は、脂質を抑えたメニュー、果物や野菜を多くとることなどがよいと考えられています。 禁煙は、過活動膀胱の改善に即効性があるわけではありませんが、禁煙の期間が長くなればなるほど、症状が緩和されていきますので、長い目で取り組んでみてください。

ストレスを減らす

ストレスも、過活動膀胱を悪化させる原因として考えられます。

皆さんも、何かの発表の前などに緊張して、トイレが近くなってしまった…という経験があるのではないでしょうか。 ストレスを感じて交感神経が優位になると、膀胱を収縮させる作用が起きてしまい、頻尿となるのです。

「出先でトイレに行きたくなったらどうしよう」「夜間に排尿で失敗してしまったらどうしよう」のように、どうしても不安に感じてしまう方は多いです。お薬などで治療をしつつ、リラックスすることも心がけましょう。

 

過活動膀胱に関するQ&A

画像 過活動膀胱や、尿に関するよくあるご質問にお答えします。

過活動膀胱と膀胱炎の見分け方や違いは何ですか?

膀胱炎の場合、急に症状があらわれる点が最も大きな違いです。 また、膀胱炎では尿を出すときに熱さや出しにくさを感じたり、発熱やだるさ、腰や背中の痛みといった随伴症状が出たりする点も異なります。尿検査で判断できます。 いずれの場合も、婦人科で対応できますので、ご相談ください。

過活動膀胱を放置するとどうなりますか?

過活動膀胱は、自然にはなかなか治りません。もちろん、骨盤底筋体操などにより改善は見込めますが、正しく力を入れるのは難しいため、専門家のアドバイスを受けた方が日常生活が楽になります。

過活動膀胱は完治しますか?

若い方は、治療により大きく改善することが多いです。ご高齢になってくると、加齢性変化もあり、すっかり治ってしまうというのは難しいかもしれません。ですが、生活に支障がない程度にまで改善することはできると思います。 お薬を使うだけでなく、膀胱訓練や骨盤底筋トレーニングなど、ご自身で取り組んでいただくことも非常に大切です。

過活動膀胱で残尿がある場合、どうなりますか?

残尿があるかどうかは、腹部のエコーで判断できます。残尿の量が多い場合は、泌尿器科医による専門的な判断・治療が必要です。 当院では、月に1回、女性の泌尿器科専門医による診察日を設けており、スムーズな連携が可能ですので、お気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、急な尿意や排尿回数の増加などを特徴とする「過活動膀胱」についてご紹介しました。

排尿に関するお悩みは、恥ずかしさもあり我慢している女性が多いです。尿の心配のせいで、遠出を避けたり、女性として自信を失ってしまったりするのは、つらいことでしょう。

適切な治療やトレーニングにより、改善が見込めます。さまざまな治療法を用意してお待ちしておりますので、お気軽にご相談ください。

院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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