【女性必見】エクソソーム点滴のメリットとデメリット｜施術前の注意点とは？

最近、幹細胞培養上精液の点滴や局所注射、エクソソームの点滴や点鼻、膣内投与など、様々な治療が行われているようです。

幹細胞培養上精液やエクソソームでどのような効果が期待できるのかというと、皮膚の再生や美白、肌質や毛髪再生、加齢による細胞の劣化の抑制などでしょうか。エクソソームは、幹細胞上精液から不要な成分を取り除き、濃縮されたもののようですが、その効果はそれぞれの製剤により異なるように思います。

婦人科医として注目しているのが、これらの治療の影響が卵巣に影響して、エストロゲンレベルが上がるかどうかということ。肌がきれいになる仕組みが、エストロゲンを介するのかどうかはよくわかっていないように思われます。

これらの成分が皮膚の直接作用として増殖するのは当然のこととして、卵巣を刺激して、エストロゲンの上昇を引き起こしているのでは？という症状をもつ患者様に出会うこと。

今回の記事では、女性のエクソソーム点滴のメリット・デメリット、施術前の注意点をご紹介したいと思います。

エクソソーム点滴とは？

エクソソーム点滴は、幹細胞が培養される際に生成される「幹細胞培養上清液」に含まれるエクソソームを使用した点滴療法です。エクソソームには成長因子や抗炎症作用を持つ成分が含まれており、肌質改善、エイジングケア、美肌効果などに期待できます。

この施術は、美容医療の分野だけでなく、再生医療の一環としても注目されていますが、施術前にはいくつかのリスクや注意点を理解しておくことが重要です。

エクソソーム点滴のメリット

1.肌のハリ・ツヤの向上

コラーゲン生成を促進し、肌の弾力や透明感を高める効果が期待されます。

2.エイジングケア効果

細胞の再生を助け、シワやたるみの改善が期待できます。

3.炎症抑制・免疫調整

炎症を抑える作用があり、アトピーや肌荒れの改善にも寄与するとされています。

4.疲労回復・健康維持

体内の修復機能を高めることで、疲労回復や免疫力向上の効果が期待されます。

 

エクソソーム点滴のデメリットと注意点

1. 不正出血のリスク

婦人科診療の現場では、エクソソーム点滴後に不正出血が発生したという報告があります。これは、エクソソームに含まれる成分がエストロゲンレベルに影響を与える可能性があると考えられます。閉経後の女性で、エストラジオールの上昇を認める例もあることから、以下の疾患を持つ方は、施術前に十分な検査を受けることをおすすめします。

基礎疾患

乳がん、子宮体がん、子宮筋腫・子宮内膜症、子宮内膜ポリープ

その他鑑別診断

子宮頸がん、卵巣がん、子宮頸管ポリープ

2. アレルギー反応の可能性

幹細胞由来の成分を使用するため、まれにアレルギー反応が起こることがあります。過去に点滴療法や再生医療系の施術で副作用を経験した方は、事前に医師へ相談してください。

3. 施術の安全性と医療機関選び

エクソソーム点滴は、施術を行う医療機関によって品質や安全性に差があるため、実績のあるクリニックを選ぶことが重要です。

 

エクソソーム点滴を受ける前のチェックリスト

1.婦人科検診を受ける（子宮体がん検診、乳がん検診、卵巣がん検査など）

2.持病やホルモンバランスに影響を与える疾患がないか確認

3.施術前後の体調の変化に注意し、異常を感じたらすぐに施術を受けたクリニックを受診

 

まとめ

毎日の外来診療で、不正出血の方が来院されます。

一般的には、膣炎、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮頸がん、子宮体がん、子宮頸管ポリープ、子宮内膜ポリープなどの疾患を疑って診察を始めます。特に、更年期以降の不正出血の患者さんには注意が必要です。

一番気になるのは、子宮体がんと子宮頸がん、卵巣がん。膣炎の治療にも関わらず、持続する出血にはこれらのがんを疑います。

産婦人科医として、これらの疾患を疑うことは当然のことでしたが、美容点滴によるという知識がなかったため、かなり不正出血の原因検索に苦慮した経験をいたしました。

エクソソーム点滴は、エイジングケアや健康維持に魅力的な治療法ですが、不正出血のリスクやホルモンバランスへの影響について、医師も投与をうけるご本人も事前によく理解する必要があります。

特に婦人科系の疾患リスクがある方は、事前にしっかり検査を受け、安全に施術を受けることが大切です。施術後に不正出血などの異常を感じた場合は、すぐに投与した医師の診察を受けて、適切な治療をお願いしましょう。

また、医療内容がわかる紹介状をいただき、婦人科専門医にもご相談ください。