小陰唇縮小術はいつするのがいいですか?縮小術の注意点や後悔しないためのポイントを女医が解説。
更新日:2024.10.13
「小陰唇縮小術はいつ受けるのが良いですか?」という相談を受けることがあります。
特に術後のケアや出産に関連する不安を抱える方も多いです。
ここでは、適切な手術時期を考えるポイントや縮小術の注意点をいくつかご紹介します。
小陰唇縮小術を受ける前のチェックポイント
POINT1 出産予定があるかないか
いつも婦人科医として答えていることは、この先分娩を予定しているか、分娩後かということ。
出産を考えているということは、更年期より前のホルモン分泌が良好な年齢であると思いますが、出産、つまり経腟分娩をするときには、膣は直径約10㎝まで伸びることを想定しております。
急に外陰部が伸びた場合、裂傷が生じることがあるのですが、切除してある部分の組織が弱いことがあるので、出産時には主治医に情報を提供しておくことは重要なことだと思います。
分娩の速さと赤ちゃんの大きさによると思いますが、楔状に切開している場合は特に負荷がかかると裂傷となる可能性があると思います。会陰部と別の部分に裂傷ができると、その傷が大きくなること、出血量が増えること、また、縫合に関して経験が浅い医師が担当医になる場合、縫合に時間を要することも多いので、ぜひ、事前にご相談して下さい。
会陰切開の位置、方法、タイミングも通常と異なる配慮が必要と思われます。
CHECK 乳頭/乳首縮小術
話が少し逸れますが、乳首縮小術を行った経験がある方は、縮小術で乳管を切除する場合があり、母乳が出にくくなることもあります。
乳頭縮小術を行う場合は、母乳分泌のメカニズムに精通した医師にお願いするとトラブルが少なると思います。
分娩直後は、どの産婦さんも乳腺が発達して、乳汁が分泌されます。そして、赤ちゃんに母乳を飲んでもらうことにより、子宮復古が促されます。乳管が断裂すると、乳汁分泌ができないにもかかわらず、乳汁は産生されますので、行き場のない母乳に圧迫される痛みは、普通では想像できないかもしれません。
過去に乳首手術を受けた方は、助産師にも事前に相談することでトラブルを防ぐことができる可能性もありますので、ぜひご相談ください。
POINT2 外陰部の血流(術後の注意点)
外陰部の状況は、年齢とともに変わります。
赤ちゃんの時のぷくぷくの外陰部から年齢とともに成熟し、更年期に近づくにつれ血流が減ってきて、創傷治癒が遅くなります。
出産後、閉経に近づいてくると、外陰部の血流が低下することにより創傷治癒が遅れることがあります。特に閉経後の小陰唇縮小術後に、傷の感染やヘルペスが発症する例が多くあるので、術後の注意が必要です。
感染した場合は、積極的に治療を行うことをお勧めします。術後疼痛が強い場合には、処置を行った病院にまた診察をしてもらえない場合も多いので、小陰唇縮小術を理解している婦人科受診をお勧めいたします。
POINT3 外陰部のサイズ
小陰唇縮小術を希望される患者様の場合、小陰唇の左右差をなくしたい、小さく縮小したいという方がいらっしゃいます。
小陰唇は膣口の湿潤をキープするのに重要な臓器です。
さらに、年齢とともに会陰部部位から小陰唇は小さくなってきます。年齢における形態の変化を考慮して、更年期以降の小陰唇のサイズを想定して、小陰唇は小さく切りすぎないように気を付けてください。
乾燥が非常に強く、痛みを伴う状況で来院する患者さんは多く、外陰部萎縮後に治療を行うのは大変難しいです。
POINT4 術後の疼痛・ヘルペス・感染症
小陰唇縮小術後の疼痛やヘルペス、術後感染症で受診される方がいらっしゃいます。
最近、小陰唇縮小術後のヘルペスの感染で4人の方が受診されました。形成外科で手術を行う場合、婦人科ではないため、事前の性病検査を行っていない場合があります。
また、術後のトラブルが発生したときに、婦人科疾患に関連性がある疾患の場合、治療が婦人科でしかできない場合があります。STD合併しているまま、手術を行っている場合もあります。術後の相談も想定し予め相談しておきましょう。
POINT5 月経周期
「月経前」「月経中」「月経後」という月経周期のどの時期に手術をおすすめするかを考える場合、月経後に手術を受けることをお勧めします。
まず、月経後は小陰唇のむくみが少ないこと。
その次に、術後は少量の出血をするために、ナプキンを使用する場合があります。月経前ですとナプキンを使用する時期が長引くため、「擦れて痛い」「傷の感染のリスクが上がる」ということが考えられるため、月経後の手術をお勧めします。
まとめ
小陰唇縮小術を受けるタイミングは、出産予定や年齢、外陰部の状態などによって異なります。
しっかりと医師と相談し、最適な手術の時期を見極めることが大切です。
小陰唇縮小術希望の方は、産婦人科の主治医にまずご相談することをお勧めします。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。