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院長ブログ

母乳育児について

どうして母乳育児がいいのか?

 

母乳育児については、いろいろ考えてきました。

人間は最も進化した生物である。本当かどうかは、議論の余地があるかもしれないのですが、哺乳類、そして、人間は最も進化した動物であると信じて産婦人科医として生きております。その進化の集大成が妊娠、出産、育児と思っております。

 

というわけで、まず妊娠。

妊娠に関しては、一般的に一つの子宮に一つの受精卵が生着し(時々、自然双胎や品胎もありますが)、10か月かけて子宮と胎盤と胎児が育っていく。その成分はすべて母体の食事からとる栄養素からなる血液由来。その血清成分が胎盤とへその緒を通して胎児に流れ込み、胎児が育っていく。

妊娠10か月になると、子宮はこれ以上大きくなれず、子宮筋が破れないように子宮収縮が始まる。子宮収縮により、胎児はマッサージされ、子宮の出口である子宮口が広がり、胎児は子宮の外に出る。つまり出産。

ここで初めて胎児は赤ちゃんと呼ばれるようになり、初めて肺から水分を吐き出し、大きく空気を吸って、初めて自分で酸素を取り込むことになる。その後に声を出す練習として第一啼泣となる。「おぎゃー」と称される、泣声。その後、水から空気へと生態環境を変えて生きることになる。心臓は同じように血液を循環させるが、出産時に心臓の構造が変化し、4つの心房心室から肺へと循環して酸素を肺から取り入れる経路となり、心拍数は胎児のときから比較するとほぼ半分の回数となる。このぐるぐるめぐる血液は、出産と同時に胎盤は不要な臓器にとなり、へその緒は閉じて廃棄物となる。いままでもらっていた酸素や栄養の素である母体の血液はどこからもらうのか?これが母乳である。胎児から出産までの栄養と同じ成分が母乳から得られるのである。なんと合理的なことか。

ただし、今まで子宮から胎盤、臍帯を通して得られていた栄養が、こどもの口から胃、腸を通って供給されるようになる。子供は消化管のトレーニングの開始が出産と同時に始まる。母親は血流を乳房に集め、乳管から分泌するようにトレーニングされる。ここが大切。

この赤ちゃんとママの二人のトレーニングが始まり、これがうまくいくところから育児が始まる。赤ちゃんは吸啜反射というものが生まれたての赤ちゃんには存在し、ママの母乳のにおいから乳首を探して吸い付く。ママは出産と同時にホルモンが変化し、乳首を吸われると母乳が出るようになる。授乳は出産直後から約3日かけて完成し、ママの母乳量や母乳成分は赤ちゃんの発育にぴったりに調整される。授乳という自然に発達した神秘的な仕組みに感動する。ただし、この調整に3日かかる場合、赤ちゃんが脱水になることもあり、栄養や脱水に注意した赤ちゃんケアが必要である。ただし、ここで甘い甘い人工乳が登場すると、赤ちゃんはママの母乳より人工乳の虜になってしまうので、要注意。哺乳瓶も母乳より吸い付きの力が弱くてもうまく飲めて、母乳の口の動かし方も異なるので、乳頭混乱という言葉もあるくらい。授乳がうまくいかないと母子ともに関係性の確立に支障が生じるので、授乳の成功は母子関係を気付く上で非常に注意が必要である。

日本では、産婆さんと呼ばれるスペシャリストにより出産から授乳まで、スムーズに調整できる。これが素晴らしい日本文化にある。これが女性のみ知られるクローズされた世界観の中にあり、男性社会では今でもこの存在を知らないのかもしれない。これが、哺乳類始まって以来ずーっと続いていた文化である。そしてママ、赤ちゃん、産婆さんから始まり、ママの母親やおばあちゃん、いとこなど女性に囲まれた、赤ちゃんを中心とした新しい世界が始まるのである。

 

現代社会において、この仕組みがスムーズに行われなくなってきたという感じがする。女性の社会進出を言われて久しいが、高度医療が進む中、女性特有の出産文化はすたれ、安全な高度医療が受けられる病院での分娩が主流になり、病院助産師の若年、また授乳指導の能力の低下、人員の低下、退院日数の低下。とにかくママのサポートは少なるばかりである。丁寧なのは人工乳の作り方の指導ばかり。自然から離れているなあと思うけれど、周産期死亡率の減少を見ると医療介入はある程度必要なのかもしれない。

 

本題から少し離れてしまった前置きであるが、ここから本格的な母乳育児のメリットについてお話したい。

1. 母乳を吸うには、抱っこが必要

抱っこしないと授乳ができない。赤ちゃんを抱っこして支えないとうまく赤ちゃんの口を乳首に固定ができない。これが大切。人工乳では、ベビーベットに赤ちゃんを寝かせたまま、哺乳瓶を立てかけて授乳できる。ちょっと怖いけど病院の新生児室ではよく見かける光景。人工乳を赤ちゃんを抱っこしてあげているのを見ると、ちょっとほっとする。

ちょっと変な言葉に感じる方もいるかもしれないけれど。赤ちゃんにとって抱っこは大切。生まれたての赤ちゃんをなめて体循環を促すというのは哺乳類では比較的よく見られる光景。人間に場合、陣痛で赤ちゃんの循環を促すのかなあと思っている。そのあとの抱っこ。この皮膚刺激は大切。まず、体温保持。抱っこしない授乳と抱っこする授乳の愛着形成に関する研究をお手伝いしたことがある。こんなことが研究になるなんて?とは思いましたが、やっぱり抱っこがいいことは明白な結果となりました。赤ちゃんの視力は、おっぱいを吸いながらママのお顔が見れる距離。結構近視です。1歳くらいになるまでに徐々に徐々に遠くが見えるようになります。

授乳はママと赤ちゃんの初めての共同作業。ママにとってこの成功体験と安心感は何物にも代えがたい貴重なもの。母性の始まりだと思う。自分の母乳育児にはつまずいた経験がたっぷりありますが、それはまた別の機会で。

2. 吸啜反射でママを刺激、子宮復古

赤ちゃんは反射的におっぱいを吸う。ママはこれを受けて、乳腺が刺激され、母乳を作り出し、プロラクチンという子育てホルモンがアップして、さらに母乳が作られる。オキシトシンという子宮収縮を促すホルモンが分泌され、大きく引き伸ばされた子宮が元の状態に戻っていく。おっぱいをあげることで、ママの健康復帰を促す。良い仕組みだと思います。

4.母乳の成分を赤ちゃんの成長

  そして、最高に価値が高いのが、母乳には感染予防の免疫成分がたっぷり含まれること。昔から新生児の死亡の大きな原因は、感染症。感染症予防には母乳が一番。そして、腸管の成長を促す因子が母乳にたっぷり含まれること。このことで食物の消化吸収する機能をもつ消化管に作り上げる。が成長して、胃酸が沢山分泌されるようになると、腸内に善玉菌を連れていくことができなくなるのがちょっと欠点。今サプリメントで、母乳に含まれるラクトフェリンという母乳に含まれる乳酸が膣内環境をよくするという商品も発売されているが、後天的に腸内細菌叢に働きかけるのは大変。やっぱり母乳育児でいいのではないかと思ってしまう。アレルギーに関しても、牛乳のような牛タンパクでなく、母乳のヒトタンパクの方が消化がいいのは当たり前。わざわざ異種タンパクをあげる必要はない。母乳がいいのは言うまでもないが、母乳育児が確立する方法が伝授されにくい現代社会。そこの解決が何よりも重要。

 

母乳育児について

この栄養的にも、免疫的にも、愛着形成のためにも母乳育児が大切なのは言うまでもないが、キャリアウーマンにとって母乳育児を確立するのは至難の業。

その秘訣は。

☆できれば、育休を1年くらいとって、身体をゆっくり休めてほしい。

☆骨粗しょう症にならないように、低栄養にならないように、たくさんの母乳が出るように栄養たっぷりのお食事をしてほしい。

☆赤ちゃんがかわいいと思えるだけのゆったりとした時間を確保してほしい。

☆赤ちゃんの存在が家族の中で普通のことに感じるくらいになるまで、家庭内の市民権を得るまで、家族で過ごしてほしい。

☆赤ちゃんと抱っこしてゆっくり眠ってほしい。

☆赤ちゃんに、一番の親しい友人のように話しかけてほしい

赤ちゃんをよく観察して、正確を見極めてほしい

 

ママたちへ
世界で一番幸せな時間を満喫してください。

院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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